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コラム

耳寄りな税金に関する話

⊡ 増資と同時にする減資 (会社法、登記)
 株式会社の増資に際し、増加する資本金の額は原則として全額が資本金の額に計上され、例外として払込等の金額の2分の1以上であればよいことととされています(資本金の額に組み入れなかったは資本準備金とされます。)。但し、別段の定めにより、同時に減資をする場合、払込等の金額の全額を減資することにより、当該減資相当金額を資本剰余金(または資本準備金)とすることが認められています(会社法445条、447条)。この場合の決議は、取締役(取締役会)の決議とされます。登記上は減資手続きに関する債権者保護規定(公告、個別債権者への催告)の要件(1か月以上の異議申立期間)を満たす必要があります。

⊡ 会社等の解散・清算 (法人税、登記)
 株式会社・一般社団法人・一般財団法人が解散決議(外国会社の場合は支店等の閉鎖決議)をした場合には、法人税法上解散日までを1事業年度(解散事業年度)として決算申告を原則として2か月以内(清算結了した事業年度は残余財産が確定した日から1か月以内)に、翌事業年度は当該解散日の翌日から1年間を通常事業年度として清算結了まで決算申告をすることとされます(登記法上は解散事由発生日から2週間以内に本店においてその旨の登記義務が課され、会社法上は債権者保護手続き(2か月以上の公告・個別催告;会社法499条)を遅滞なくとることとされています(外国会社の支店閉鎖の場合は1か月以上の公告等;同法820条)。)。なお、持分会社(合名・合資・合同各会社)の解散の場合は決算期は従来と変わらないこととされています(債権者保護手続き(2か月以上の公告・個別催告)は合同会社のみ;会社法660条)。

⊡ 日米租税条約に基づくロイヤリティ(著作権使用料等)に係る源泉徴収税額(所得税)
 
米国企業等から日本国内居住者にロイヤリティが支払われる場合、原則として10%の源泉徴収税額が差し引かれますが、予め米国企業等に対し、税務情報の提供を行うことでその免除がされることとされています(その提供は代理人を通して行うことも可能です)。その情報提供を行わなかった場合には、事後救済策として、翌年の確定申告において外国税額控除を受けることで取り戻すことは可能となります。ただし、外国税額控除の要件があり、外国所得税につき、「任意にその金額の全部または一部の還付請求をすることができるもの」についてはその対象から除かれることとされています。海外取引が増加している昨今、居住者個人の方は外国税額の内容にも注意を凝らす必要があります。

⊡ 日本在住者に送られた米国救済法に基づく小切手(1400ドル)の取扱い
  2021年に入りバイデン大統領のとったコロナウィルス感染症に伴う経済救済策として、米国民に支給した小切手(1400ドル分)が日本在住者にも送られてきたケースが散見されています。原因は、米国年受給者の一部につき一定の基準に基づく一律の支給を行ったようです。しかしこれは、米国当局の誤りで返還義務があるとのことです。一部で円転してもかまわない旨の論評がされているようですが、返還請求が来た場合は当然返還義務が生じますので、円転せずにIRSに返却することがよろしいと言えます(詳しくは米国IRSサイトにてご確認ください。)。

⊡ 秘密証書遺言の活用 (民法,相続)
 遺言書の方式として、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言が民法上の遺言方式とされています(このほか特別の方式として死亡の危機が迫った場合などの遺言がありますがここでは割愛します。)。高齢化などの理由により自署できない場合には公正証書遺言の形が優れていると考えますが、中には他人に知られたくない場合もあります。その場合には自筆証書遺言にならざるを得ませんが、署名のみならず遺産の内容も原則として自筆によることとされています(自筆証書遺言保管制度の創設により遺産内容を印刷により法務局で確認してもらう方式(本人が法務局へ出向く必要があります。)が令和2年7月より施行されています。)。署名(押印も必要です。)のみ自筆で遺産内容は印刷で、という要望に答える方式が秘密証書遺言です。この方式は公証人および2名の証人の署名を必要としますが、内容は封印されているためその閲覧に供することはありません。本人が公証役場へ出向くことができない場合でも要請により公証人が出張してくれますので、手続きは容易です。

⊡ 非居住者に不動産を売却した場合の源泉徴収義務(源泉所得税)
 原則として売却代金の10.21%の割合で源泉徴収し翌月10日までに納付しなければなりません。ただし買主の自己又はその親族の居住用目的で購入し且つ代金が1億円以下である場合は不要とされています。売主が非居住者であるか否かの判断は極めて重要で、非居住者であることが課税庁から指摘された場合、買主は納付義務(更には不納付加算税等の附帯税の賦課もあります。)は逃れられません。本来は売主から徴収すべき税金ですが取り漏れてしまうと実質的には回収不能に陥ることが実態です(所得税法上は求償権を買主に認めていますが、個人間の債権債務問題に関わるため実質的には回収困難となるというのが実態です。)。不動産売買に際しての売主の税務上の位置づけの確認は怠ってはならないということです(東京高裁平成28年12月原告敗訴確定があります。)。

⊡ 相続前に借入金で取得した賃貸不動産の相続税評価を通常の評価通達によることは課税上の公平を欠くとして鑑定評価によることを妥当とした判例(相続税)
 いわゆるタワーマンション節税を謳い文句に資産家に販売しているようなケースに対する警鐘です。通常の通達評価による価額と時価(鑑定価額)とに大きな乖離(3~4倍)が認められる不動産について通常の評価通達によって評価することは妥当ではないとして、課税庁側が採用した鑑定価額を妥当な評価額とした判決がありました(東京高裁令和2年6月24日)。いわゆる、「評価通達6項」の規定の適用を認めたケースです。
今回は相続税対象資産の評価の判定での裁判事例ですが、贈与のケースでも乖離を利用したスキームについて実際の取得価額での評価を妥当とした判例もあり、単純な通達評価との乖離を狙った節税商品は網をかけられたことになります。注意が必要です。

⊡ 相続により取得した減価償却資産の耐用年数等(所得税)
 相続により取得した減価償却資産の取得日及び取得価額は相続人に引き継がれることとされていますが、新たな「取得」として中古耐用年数を適用することはできないこととされています(H26年10月大阪高裁判決)。また、減価償却方法も引き継ぐことはできません(法定償却方法以外を選択しようとする場合は取得した年の確定申告期限までに届出を行う必要があります。)ので、相続人は注意が必要です。

⊡ 設備等、建築物取得時期と消費税の仕入控除のタイミング(消費税)
 
引き渡しのあった時点で、消費税法上の仕入れがなされたものとされます。このタイミングを巡って、課税時期ずれを指摘され課税庁と争うケースが増えているようです。判例で指定されるように、消費税法上資産を譲渡した場合の譲渡時期について、原則は引渡しがされた日を譲渡があった日とされ、例外として固定資産の譲渡について土地建物その他これらに類する資産の譲渡である場合について契約効力発生日をもって譲渡の時期としている場合にはこれを認める規定があるが、消費税法上課税仕入れを行った日とは、対価を収受する権利が確定した日をさすものであり、例外規定がこれに反することを認めるものではなく単に効力発生日をもって権利が確定したと認められる事情がある場合に限りその日をもって課税仕入れを行った日とすることを確認したにすぎない、として原則通りの引渡のあった日を「課税仕入れを行った日」とすると判じています。該当するケースでの消費税仕入控除の適用時期の誤りに注意する必要があります(課税仕入れの時期の判定に当たっては、売主買主間の固定資産税の負担関係の確定日も考慮すべきとされます(同時履行の抗弁権の法的障害が無くなる日)。)。

⊡ コロナウィルス感染症の影響による減収補てん等の各種給付金の消費税の取扱い
(消費税)
 国の持続化給付金をはじめ、国及び地方公共団体からの家賃補助金等の受給金は対価
性の無い資産の譲受に該当するため、消費税法上は不課税となり、課税売上割合に影響
させません。従って、仕入税額控除の計算には影響しません(なお、受給金は法人税およ
び所得税上は所得とされますので注意が必要です。)。
 
⊡ 譲渡所得(不動産・株式)、上場配当、先物取引に係る雑所得(山林所得および退職所得がある場合を除きます。)がある場合のふるさと納税(住民税)
 分離課税所得がある場合の住民税から差引く控除税額(寄付金控除)の計算は、その
他の所得について適用される控除割合ではなく、75%(復興税考慮後は74.685%)
(短期譲渡所得の場合は60%(同59.37%))を控除割合として計算しますので注意
が必要です。

特定土地等の長期譲渡所得の圧縮記帳(80%または60%)の適用期限は令和2年12月31日まで(法人税、所得税)
 平成21年1月1日から同22年12月31日までの間に取得した土地等(先行取得
土地等といいます。)がある場合で、他の土地等を譲渡して買換えた場合の土地等の圧
縮記帳(2以上の土地等の譲渡である場合は80%、一つの土地等の譲渡で先行取得土
地等が平成22年1月1日から同年12月31日までに取得されたものである場合は
60%(いずれも所有期間が5年を超えるもの))の適用期限は令和2年12月31日
までです(法人、個人とも。なお、1000万円の特別控除制度は継続されます。)。


⊡ 新型コロナウィルス感染症の影響と事前確定給与の変更(法人税)
 
事前確定給与の改定(減額等)は業績悪化事由を根拠として管轄税務署に届出をすることによりその改定が認められます。その要件としては新型コロナウィルスの影響を受けて店舗の休業を余儀なくされた等著しい業績への悪化事由を根拠として株主総会等の決議をし、かつ決議後1か月以内にその旨の届出をすることにより改定が認められます。

⊡ 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例(消費税)
 新規設立法人で資本金及び出資金の額が1000万円未満の法人は原則として当初2年間消費税免税業者となりますが、①その持ち株等の50%超が特定の者等に保有され且つ②その特定の者等(特殊関係法人)の基準期間に相当する課税売上高が5億円超であること、①②何れの要件とも満たす場合には、免税特例が適用されません(高額特定資産を取得した場合には上記の要件から外れていても免税事業者とはなりません。)。

⊡ 遺留分減殺請求があった場合の相続時精算課税適用者の相続税の課税価額(相続税)
 
相続時精算課税適用者が遺留分減殺請求を受けてその価額弁償または返還が確定した場合には、贈与税の更正の請求を行い、その減額更正後の価額が相続税の課税価額に算入されることとされます。(国税庁質疑応答)

⊡ 遺産分割の方法と所得税の取扱い~最高裁判例(所得・相続税)
 
遺産分割の方法として現物分割、代償分割及び換価分割の方法がありますが、相続税の申告上は問題とされなかったとしても、相続物件をその後譲渡した場合に所得税の取扱いは異なることとされた事例です。
事例では、相続税の申告は代償分割として申告済みであったが相続不動産を譲渡した時の所得税の取扱いでは換価分割がされたものとして課税されたものです(平成5年最高裁判決)。分割協議当初から不動産業者と分配金額を含めて相談をしていた事実があったために結果的に分割方法が否定されたものとなっています。相続不動産を相続後売却することが決まっているようなケースでは(特に所得税を節税することを目的とした相続方法をとっていると認められる場合は)、注意しておく必要があります。

⊡ 資産保有型会社の株式の評価上の相続税法上の取扱い ~事業承継税制に関連して(贈与・相続税)
 
事業承継税制の適用対象となる会社から「資産保有型会社」は除外されています。他方、取引相場の無い会社の株式のうち株式保有特定会社の株式に該当するか否かの判定に当たっては、「資産保有型会社」とその保有資産の範囲に相違があることに注意する必要があります。
具体的には、株式保有特定会社に該当する保有株式及び出資の範囲には①匿名組合の出資および②証券投資信託受益証券は含まれないこととされていますが、「資産保有型会社」には上記①および②の資産はともにその判定対象(特定資産)に含まれることとされています。注意すべきことは、相続税財産評価基本通達にも規定があるように、有利になる評価方法の適用を受けるために資産内容を変動させても「ためにする行為」とみられる(評価基本通達189なお書)ということです。また、「資産保有型会社」とされる特定資産には保険積立金も該当することに注意しておく必要があります。

⊡ 取引相場のない株式の発行会社への譲渡(自社株の取得)価額の所得税法上の取扱い (所得・相続税)
 
取引相場のない株式を発行会社へ譲渡した場合の譲渡価額を巡って、不服審判所が裁決を下した事例です。
所得税法基本通達59-6において、取引相場のない株式を譲渡した場合の時価につき財産評価基本通達(178から189-7)の規定に従って評価することとしていますが、その(1)では財産評価基本通達188(1)規定の「同族株主」該当性の判断を譲渡直前の議決権の数に求めている事に基づき、原則評価により評価した価額に基づき1株当たりの金額を算定、資本等の金額を超える部分をみなし配当金額としその余りを譲渡価額としました。この結果、所得税法59条第1項第2号((法人への譲渡)みなし譲渡)の規定に基づく同法令169条(低額譲渡の判定基準となる価額=時価の2分の1に満たない金額)により、低額譲渡に該当するとしたものです(H30.3.19裁決)。
自社株の譲渡に際しては、同族株主は十分に注意する必要があります。

⊡ 取引相場のない株式の譲渡価額の所得税法上の取扱い (所得・相続税)
 
取引相場のない株式を譲渡した場合の譲渡価額を巡って、最高裁判所が判決を下し
た事例です。所得税法基本通達59-6において、取引相場のない株式を譲渡した場
合の時価につき財産評価基本通達(178から189-7)の規定に従って評価する
こととしていますが、「その意味するところは、株式を取得した株主の会社への支配
力に着目したものということができるが、株式の譲渡に係る譲渡所得に対する課税に
おいては、当該譲渡における譲受人の会社への支配力の程度は、譲渡人の下に生じて
いる増加益の額に影響を及ぼすものではないのであって、譲渡所得に対する課税の趣
旨に照らせば、譲渡人の会社への支配力の程度に応じた評価方法を用いるべきものと
解される」、とし、「譲渡所得に対する課税と相続税等との性質の差異に応じた取扱
いをすることが妥当であり、少数株主に該当するか否かについても当該株式を譲渡し
た株主について判断すべきことをいう趣旨のものということができる」と判断し、配
当還元価額による評価額を時価とすることを否定しました。
(令和2年3月最高裁判決)

⊡ 事業者向け電気通信利用役務に係る消費税等の仕入控除の取扱い (消費税)
 平成27年度税制改正により、事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合、特定課税仕入れとして国内事業者において当該仕入に係る消費税等を申告納付することとされました(リバースチャージ方式といいます。)。具体的には、国外事業者が行うネットを利用したサービス(ネット上の広告宣伝や語学事業の利用など)への対価の支払いが発生した場合に国外事業者に代わって消費税の申告を行い納付するというものです。ただし、簡易課税適用事業者および課税売上割合が95%以上の課税期間についてはこの適用がありません。適用がない課税期間においては当然ながら仕入控除もできませんので注意が必要です。

⊡ 上場株式等に係る配当所得等の取扱い (個人住民税)
 平成29年度の地方税法改正により、上場株式等の配当所得等に係る個人住民税の課税方式について、所得税の申告方式とは同じ方式でなくともよいとすることが明確化されました。すなわち、所得税では総合課税を選択して配当控除を受け住民税では申告分離方式により課税所得の対象から除外することができることが明確化されました。これにより所得税の配当控除を受けることで節税ができる場合が生じます。ただし、所得税のみの確定申告とすると、総合課税の申告により自動的に住民税の申告がなされたと扱われるため、住民税の確定申告を別途、原則として3月15日まで(実務上は納税通知書の送達前(具体的には4月末ごろまで))にする必要があります(上場株式等の配当所得等について分離課税とすることにより申告を不要とする旨の申告(配当所得不記載)をすることとなります。)ので注意が必要です。

⊡ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除を受ける場合には当初申告が必要要件とされるとした事例 (法人税)

 
当初申告において本件特別控除の適用を失念したとして更正の請求により減額請求をしても、更正すべき理由がないとの通知処分は適法であるとされたものです(東京高裁平成29年1月26日判決)。他の下級審においても判旨の中で述べられているように、確定申告書に控除明細書の添付がない場合には適用がないとする規定の趣旨は、個人所得の拡大、消費喚起による経済成長を達成することを目指すというインセンティブ措置であり、事後的な選択適用を認めると目的とした政策実現が阻害されるおそれがあることから当初申告要件を課したものと考えるべきとしています。税額控除の特例の適用を受けようとする場合には改めて注意が必要です。

⊡ 相続等による被相続人居住用不動産(空き家)譲渡に伴う特別控除
(最大3千万円)(所得税)
 相続人が相続等により取得した次の要件を満たす空き家を譲渡した場合、譲渡所得金額から最大3000万円の特別控除をすることができる制度です。
①被相続人の居住の用に供されていていた家屋又は敷地の譲渡であること。
(注1)
②昭和56年5月31日以前に建築された家屋(またはその敷地)であること(区分
 所有建物を除きます。)。
(注2)
③相続開始直前に被相続人以外の者が居住していなかったこと。
(注3)
④平成31年12月31日までの間に行われる譲渡であること。
⑤相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした譲渡で
 あること。
⑥譲渡対価の額が1億円以下であること(1億円を超える場合には適用できません(譲
 渡対価の金額には固定資産税未経過分相当金額が含まれますので注意が必要です。
 )。)。
 なお、この特例の適用を受ける場合には、相続税額の取得費加算の特例は適用でき
 ませんので注意が必要です。
(注1) 
家屋の譲渡がある場合は当該家屋の耐震基準適合証明書または住宅性能評価証明書の写しが必要
    となります(家屋取壊し後の譲渡の場合は不要)。また、居住の用に供していたかどうかの判定は
    現況によることとされていますので、老人ホーム等に入居していた場合であっても適用があります。

(注2)
 家屋の登記の有無は問いませんが、無い場合には完成当時の検査済証や建築請負契約書等、固定
    資産税課税台帳の写しにより要件を満たす裏付けが必要となります。

(注3) 居住用部分と貸室とが一体となった建物の場合、空き家となってから譲渡する日までに貸付け等
    他人の居住の用に供されていた場合には適用がありませんので要注意です。


⊡ 債務免除しなかった資力なき者に対する債権の相続税法上の取扱い (相続税)
 
被相続人が生前に身内の債務の肩代わりをして債務免除をせずに相続が発生した場合の話です。
肩代わりをしてもらった身内が資力を喪失して弁済能力がない場合に、その肩代わり債務を(例えば親から)免除してもらった場合には贈与税が非課税とされる取扱いがあります。しかし、親等扶養義務者による肩代わりの場合を除き、生前に債務免除を怠ったまま相続が発生しますと、肩代わり債務は相続人の財産(貸付債権)として相続税の課税対象となります。これは個人に対する肩代わり債権ですが関係会社への貸付金についても同じことが言えます。回収が見込めないような債権は生前に債権放棄の手続きをとることが大切です。

⊡ 特別縁故者の税務 (相続・所得税)
 民法の規定に基づく特別縁故者が相続財産を取得した場合の話です。
財産の取得は相続税の対象となりますので、基礎控除の金額を超える場合には相続税がかかり、かつ法定相続人でない場合の2割加算の規定が適用されます。その場合の申告期限は特別縁故者として分与を受けることを知った日から10か月以内とされます。
次に、当該分与財産を譲渡(売却等)した場合の所得税の取扱いについてです。
問題となるのはその財産の取得費はいくらになるのかです。これについて国税庁は分与があった時の時価で取得したものとみなすこととしていますので、被相続人の取得費を引き継ぐことはありません。なお、特別縁故者として分与が認められる手続において弁護士等に依頼しその費用を支出した場合には、当該費用は譲渡資産の取得費とすることができます


⊡ 地方公共団体に土地を贈与した場合の寄付金控除の金額 (所得・地方税)
 地方公共団体に土地を贈与した場合、当該譲渡所得はなかったものとみなされ所得税は非課税となります。他方、地方公共団体に対する贈与は寄付金を支出した事と同義となるため、所得税法上特定寄附金として寄附金控除の適用を受けることができます。問題はその金額はいくらなのかにあります。これについて国税不服審判所は、当該贈与土地の取得費をもって寄附金控除の対象となる金額とし、取得費金額が不明の場合には、概算取得費(時価の5%相当額)をもってその金額とすることに問題はないとしました。したがって土地を公共団体に寄付してそれもって寄付金控除を受けようとする場合は、贈与した土地の時価を客観的に調査、証明できるように資料を揃えておく必要があります。


⊡ 先物取引に係る損失の繰越控除要件は連続して確定申告書を提出することとされた事例(所得税;平成30年東京高裁判決)

 
過去3年以内に発生した先物取引の差金決済に係る損失の繰越控除の制度の適用を受ける要件について、①確定申告書への明細書等の添付②連続しての確定申告書の提出③繰越控除を受けようとする年の確定申告書の提出がその要件として規定されているところ、②の連続しての提出を巡って争われていた事例について、裁判所は、結果として連続した形になっていることは②の要件を満たしたことにはならない、つまり毎年順番に確定申告書等(期限後申告書を含みます。)を提出していることが要件であるとしました。なお、損失の繰越控除受けるためには更正の請求によることも可能とされていますが、前々年度以前分の場合には更正の請求は受けられませんので、損失が発生した場合には翌年度の確定申告での申告記載漏れがあった場合は1年以内の更正の請求を失念しないことが重要です。また、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除についても同様3年間の損失の繰越控除制度がありますが、やはり同様に確定申告書等を提出している必要があります(令和元年大阪地裁判決。

⊡ 土地建物を一括して購入した場合の建物価額が不明な場合の建物の取得費の算定(譲渡所得税)
 譲渡等をした場合にその取得費を算出して譲渡損益の額を算出する必要があります(全く不明の場合は概算取得費として譲渡価額の5%相当額とすることとされています。)が、売買契約書が見つからない場合やあっても全体の金額しか表示がされていない(消費税等の金額が表示されている場合は除きます。)場合にその取得価額をどのように算出するかが問題となります。このような場合に税務としては、次のような計算方法を認めています(裁決事例)。
① 建物価額について国交省が公表している菅地区物構造別価格表から当初建物取得金額 を算出、定 額法に基づく未償却残高を取得価額とする方法
② 取得当初の固定資産税評価額を基に計算、未償却残高を取得価額とする方法なお、土地の取得価額 は「市街地価格指数」を利用して算出した金額も合理的である限りは認 められています。

⊡ 生産緑地法関係法規の改正と納税猶予 (相続税)
 平成30年度税制改正において生産緑地に係る納税猶予の取扱いが変更されるようになりました。具体的には、次の点です(平成30年4月1日以後の相続・贈与より適用)。
① 市民農園等として一定の要件を満たす場合には生産緑地を貸出した場合でも納税猶予の制度が導入 されたこと
②「特定生産緑地」という新たな制度の導入により、自治体への買取り申し出をできる期間が10年 間延長されるとともに、この延長制度を適用しない場合には納税猶予の期限が確定すること(平成3 0年3月31日以前に猶予を受けている場合には猶予は継続されます。)


⊡ 年の途中で死亡した者に係る扶養親族等該当可否の判定 (所得税)
 死亡した親族が他の親族の所得控除の対象となる扶養親族に該当するか否かの判定については、死亡した時の現況によることとされています。その判定の際重要な点は、当該死亡親族の所得の金額です。扶養控除対象となる親族に該当するためにはその年の1月1日から12月31日までの当該死亡親族の合計所得金額の見積もり金額(偶発的所得は除外します。)によることとさていることです。具体的には当該見積もり所得金額が38万円以下の場合に扶養控除対象に該当することとなるため、死亡時までの所得金額で判定することは誤りですので注意が必要です。

⊡ 相続財産から差引かれる相続債務(固定資産税) (相続税)
 相続開始の時に現に存在する債務を相続財産の価額から控除することとされています。公租公課もその対象となるわけですが、現時点で未確定であっても後日確定した公租公課、たとえば所得税や固定資産税について相続発生時点では未確定であっても、確定した時点で当該公租公課の額が債務控除の対象とされます。なお、固定資産税については5月ごろ通知がされますが1月1日現在の所有者に賦課されますので、その全額が負担すべき公租公課として債務控除できることとされています(月割の必要はありません。)。

⊡みなし役員認定と定期同額給与 (法人税)
 
法人税法上、同族会社の役員は法律上の役員(会社法上の役員等)に限られず、経営に従事していると見做される者も「役員」(みなし役員)に該当することとされています。みなし役員に認定されますと、使用人兼務役員となることができず、このため定期同額給与に該当しない給与は非定期給与(賞与)として損金算入が否認されます。
このみなし役員認定の基準は持ち株比率に左右されます。具体的には持ち株比率の判定で第1順位から第3順位までのグループの所有割合が50%を超える場合の当該グループに属し且つ本人が5%超保有していることが要件となります。社長の親族で法律上の役員とはなっていないものの株式等を5%超保有している場合には給与の支給の際には注意が必要です。

⊡ 私道の評価の取扱いの変更(相続・贈与税)
 
私道の用に供されている宅地の評価につき、「歩道状空地」について取り扱いを変更し、私道の用に供されている宅地の評価(30%の評価)を適用することとされました。その適用要件は以下の通りです。
 ①都市計画法所定の許可を受けるために地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導により整備  されていること
 ②道路に沿って歩道としてインターロッキング等の舗装が施されていること
 ③住居者等以外の第三者による自由な通行の用に供されていること
 これらの要件を満たしている宅地は財産評価基本通達24の規定を適用する ことされました。この取り扱いは平成29年2月28日の最高裁判決を基に解釈を変更したもので、過去に遡って適用されますので、更正の請求により還付を受けることができることとされました(相続税は5年間、贈与税は6年間それぞれ遡ることができます)。


⊡ カード会社に支払った代金決済手数料の消費税法上の取り扱い (消費税)
 非課税取引とされ、仕入税額控除の対象とはなりません。加盟店がクレジットカード会社から売上代金の入金を受ける際のカード手数料は、金銭債権の譲渡取引に伴う手数料相当額は金融費用に該当するものとされ、非課税取引とされるためです。

⊡ 法人住民税(均等割り)の納税義務の有無 (地方税)
 内国法人に対する課税団体は、事務所または事業所(以下、事業所等といいます。)所在の都道府県(市町村)とされていることから、その事業所の事業所等の定義が重要となります。「取扱い通知」(国税の通達に相当)では、その要件として以下の3つを挙げています。
1.事業の必要性から設けられた場所であること
2.人的物的設備を有する場所であること
3.継続して事業が行われる場所であること
 税負担の観点から重要なことは、均等割額の負担の有無です(所得割額および法人税割額は事業所数には関係しないためです。)。事業所等と認定されると均等割額の負担が発生するためです。これについて、単に物件の賃貸のみで従業者がいない場合は、上記2の「人的設備」が無いこととなり、均等割りは発生しないこととなります。なお、事業所税についても同様の「取扱い通知」が存在しますが、こちらは賃借人の側において課税の課非が判定されることとされています。


⊡ 過年度損益修正損の否認(法人税)
 企業会計上、過年度に発生した損失又は費用を前期損益修正損として当期の特別損失に計上することが認められています(ただし平成23年4月1日以後開始事業年度からは過年度遡及会計基準の導入により原則として認められなくなりました。)法人税法上も一般に公正妥当と認められる企業会計慣行を妥当なものとしてその処理を認めているところですが、過年度の費用または損失について当期の損金とする事により、課税上著しく公平を欠くような場合にまでその会計処理を認めることはしません。判例において次のように述べ、損金算入を否定(原告棄却)しています。公正処理基準(法人税法22条第4項)とは、客観的に規範性を持つ公正かつ妥当と認められる基準という意味であり、確立した会計慣行を広く含むと解されているが、企業会計原則の内容や確立した会計慣行が必ずしも公正処理基準となるとは限らない。会計慣行を含む企業会計は、ゴーイングコンサーン(企業が将来にわたって継続するという継続企業の原則)としての企業の成果、収益力、将来性等を予測させる情報の提供を目的とするのに対して、法人税法の目的は、歳入の公平な徴収、つまり負担の公平な分配あると同時に、国庫の歳入を保障することにあり、両社はその目的を異にしている、とし、法人税法の企図する公平な所得計算という要請に反するもの、あるいは適正公平な税収の確保という観点から弊害がある会計処理方式は、公正会計処理基準に該当せず、法人が収益等の額の計算に当たって採った会計処理の基準が公正処理基準に該当するといえるか否かについては、法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的とする法人税法独自の観点から判断されるものと解するのが相当である、として過年度損益修正損の損金算入を否定しました(平成27年9月25日東京地裁判決)。
したがって過年度の損金となるべき費用または損失がある場合には、原則として過去の決算書を修正して更正の請求に持ち込むことが必要となります。

 

⊡ 不動産購入に伴い支払った固定資産税等の取扱い(消費税・法人税)
 租税公課(損金)ではなく、不動産本体の取得費を構成することとされていますので、取得した事業年度の損金とすることは税務上認められません。また建物に課される消費税等相当金額は控除対象外とされます(福岡高裁平成28年3月25日判決)。

⊡ 役員貸付利息の税務上の利率について (法人税)
 法人の役員に対する当該法人からの貸付金利息について、通常収受すべき利息額に満たない額を収受している場合、その差額相当の金額を当該役員に対する経済的利益として給与課税(法人側では受取利息と役員給与とが相殺されるため所得中立)することとされています。問題はその利率をどのくらいに設定すれば認定課税されずに済むかです。判例では租税特別措置法に定める特例基準割合(日銀の政策金利+1%(毎年変動))によることも合理性があるものとしました(東京地裁平成27年9月15日判決)。因みに特例基準割合は、平成27~28年度分は1.8%、平成29年度分は1.7%、平成30年度分は1.6%となっています。

⊡ 預貯金債権の遺産分割対象財産への加入 (相続税)
  従来、預貯金債権は、民法上、可分債権として扱われ分割協議を待つことなく法定相続割合に相当する持分を単独で払い戻しができる事とされていました。ところが平成28年12月19日最高裁(大法廷)にて可分債権性を否定し、遺産分割対象財産であるとの決定をし過去の判例を覆しました。これにより相続人は遺産分割の協議を経た後でないと、預貯金の払戻はできないこととなります(平成30年の民法改正により、同31年7月13日以降の相続より預貯金の法定相続分の三分の一(一金融機関当り150万円が限度)の仮払い制度が創設され分割協議を経ないでも一部引き出しが認められることとなっています。)。

⊡ 遺言書における「相続させる」記載の意味 (民法)
  
この記載の法的意味は、相続人単独での相続をさせる遺産分割の方法の指定とされています(平成3年4月19日最高裁判例)。これにより相続人単独での不動産所有権の移転登記が可能となります。さらに重要なことは、登記する以前に第三者に譲渡されてしまっても(他の相続人が先に所有権移転登記をした後当該持分を第三者へ譲渡した場合)、その権利を第三者に対抗できること(登記名義の回復の申請が可能なこと)です。ですから、相続人間で不動産をめぐる争いが予想される場合は、遺言書にて「相続をさせる」旨の記載を忘れないことです。

⊡ 簡易課税制度採用事業者の事業区分の改正(消費税)
  平成27年4月1日以降開始の課税期間より、簡易課税制度適用事業者(簡易課税による申告義務がある事業年度に限ります。)のみなし仕入率が変更となりました。具体的には、第4種に区分されていた金融保険事業が第5種に、第5種の不動産業が第6種に変更され、その結果みなし仕入れ率がそれぞれ60%が50%、50%が40%に引下げられました。これにより、消費税の納税額が増加することとなりました。課税期間が12か月の個人事業者は平成29年の確定申告より適用となりますので注意が必要です。
なお、新たに追加されました第6種の不動産業ですが、不動産仲介・代理業・不動産賃貸業・駐車場業・不動産管理業に限定されます。従って、不動産あっせん業や販売代理手数料収入はその他サービス事業として第5種に区分されますので申告に際しては留意するべきです。


⊡ 預金利息にかかる地方税の廃止(地方税)
  平成28年1月1日以後に支払われる預金利息にかかる源泉徴収税が国税(所得税及び復興所得税(合計で15.315%))のみとされました。この関係で、法人税の地方税の申告にあたっては、預金利息にかかる道府県民税(利子割)の控除ができなくなりましたので、法人地方税の申告書の作成に当たっては注意が必要です。
   
⊡ 復興特別税と地方税の関係(所得税)
 個人住民税に関して、地方の緊急防災および減災事業の財源の確保として、臨時に増税が行われます。 
具体的には,(1)個人住民税の均等割りの上乗せおよび(2)個人住民税の退職所得10%税額控除の廃止として実施されます。
(1) 個人住民税の均等割りの上乗せ
  一人当たり年税額が1000円(都道府県民税500円、市町村民税500円合計1000円)上  乗せされます。
   (平成26年6月から平成36年5月までの10年間)
(2) 個人住民税の退職所得10%税額控除の廃止
  (平成26年6月から平成36年5月までの10年間)


⊡ ゴルフ会員権の譲渡所得の計算上、控除される取得費の取り扱いの変更(所得税)
 更生手続き等により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費について、プレー権相当分(入会金相当額)を取得費として計上することが認められることとされました。この取り扱いは平成24年8月より適用されます。この取り扱い(変更)は、東京高裁判決(平成24年6月)を契機とするもので、従来は預託金債権の全額を切り捨てられた場合のゴルフ会員権の譲渡所得の計算上取得費は、会員権の時価相当額のみとされていたことに対する裁判による争いで、プレー権部分(入会金相当額)については取得費とすることを認めた判決を税務上認めることとしたものです。なお、ゴルフ会員権等の譲渡により生じた損失は他の所得と損益通算げ認められなくなっていますので注意が必要です(平成26年4月1日以降の譲渡分より適用。)。

⊡ 給与所得控除に加算される特定支出控除制度の見直し(所得税)
 給与所得者が実際に支出する特定支出(一定の要件を満たす資格取得費や職務遂行上直接必要とされる経費で給与等の支払い者により証明がされた書籍代や交際費など)についてその範囲が拡大され、給与所得控除額に加算することが出来ることとされました。ただしその支出額の全額が控除対象となるのではなく、給与に応じた給与所得控除額の2分の1(年収1500万円以上の場合は125万円)を超えた金額が控除対象となります。ですから、例えば給与収入額が600万円の人について見ますと、給与所得控除額は174万円ですので特定支出控除を受けるためには87万円を超える特定支出があることが必要になる上、控除額は87万円を差し引いた残額が対象となりますので現実的には、(例えば1年間の支出額が90万円あった場合でも給与所得控除額に上乗せできる金額は3万円)あまり期待は出来なさそうです(適用は平成25年度所得分より。平成30年度税制改正にて特定支出のうち旅費に係わる支出の範囲の拡大の改正がされています。)。

⊡ 消費税免税事業者制度の改正(消費税)
(1)課税売上高5億円超の新設子会社等の免税事業者からの除外
   平成26年4月1日以後設立される法人のうち、①他の者により出資の50%超を直接または間
  接に保有されている場合等他の者により支配されていると認められる場合(特定要件)②①の
  特定要件の判定対象者の課税売上高(新設法人のみなし基準期間における課税売上高)が5億
  円超であること、のいずれの要件も満たす場合には設立事業年度より課税事業者として扱われ
  ることとされました。
(2)免税業者となるか否かの判定基準の改正
  平成25年1月1日以後に開始する事業年度より免税事業者の判定基準が改正されました。
  ① 基準期間(2事業年度前)の課税売上高が1000万円以下
  ② 特定期間(前事業年度の上半期6ヶ月間の課税売上高もしくは給与総額)が1000万円以下   (ただし、前事業年度が7か月以下の短期事業年度の場合は特定期間の判定の適用除外となり
   ます。)
   この①または②のいずれかを満たす場合に、免税事業者となります。


⊡ 教育資金一括贈与制度のメリット(相続税)
    ・この制度を活用すると、贈与者の相続財産から除外されること
   ・金融機関等を経由しての贈与申告であること(税務署への申告手続きは不要)
   ・受贈者が30歳に達した場合に当該贈与口座に残高がある場合に初めて本人に贈与税が課さ
    れること
    以上のポイントを考慮しますと、この制度を利用することにより、教育資金の贈与分だけ確
   実に相続財産から除外されるため即効性があることが指摘できます。


⊡ 法人住民税均等割り基準額となる資本金等の解釈の変更(法人住民税)
 従来、無償による資本金の増減相当額は、「資本金等の額」から除外されていましたが、平成27年度税制改正により、これを含めることと解釈の変更がされました。例えば欠損補てんのための減資を行っても均等割り算定基準となる「資本金等の額」は変わりなしでしたが、この改正により、「資本金等の額」は減資分だけ減ることされますので均等割り基準の税額に変動が生じうることとなります。この改正では、過去の無償増減資についても効果が及ぶこと(均等割り額が変更となる場合は平成27年4月1日開始事業年度分より適用)とされています。具体的には、無償増資については平成22年4月1日以降(注1)、無償減資については平成13年4月1日以降(注2)、に実施された資本金の増減について適用されます。
 (注1)「その他の利益剰余金」または「利益準備金」の資本組み入れ分について適用されます。
 (注2) 平成18年5月1日以降は無償減資金額のうち「その他の資本剰余金」に振り替えたのち1年以内に欠損の補てんに充てた場合のみが対象とされます。


⊡ 事前確定届出給与(賞与のこと)の注意点(法人税)
 法人(会社など)が役員に対して損金(経費)扱いの賞与を支給する場合、事前に税務署長等に届出をしなければならないこととされています。この条件は厳格に解釈されており、届出金額と支給予定日が届出のとおりとなっていない場合には支給額すべてが否認されてしまうことがありますので注意が必要です。特に複数回に亘って支給する場合には、全て届出通りの支給結果となっていない場合には全額が損金(経費)不算入となってしまいます(業績悪化改定事由に該当する場合を除く)ので要注意です。例えば、2回支給の事前届出を行っていた場合で1回目は届出通りに支給したものの2回目は届出金額に届かなかった、もしくは支給しなかった場合には、1回目を含めて賞与全額が否認されることになるということです(東京高裁平成25年3月14日判決)。

⊡ 美術品等の減価償却資産としての取り扱いの変更(法人税)
 平成27年1月1日以降に新たに取得または同日前に取得していた美術品等について、従来の解釈を変更し、1点当たりの取得価額が100万円未満で一定のものは減価償却資産とすることとされました(従来は1点20万円未満、絵画の場合は号当り2万円未満の美術品等を減価償却資産としていました。)。
この取り扱いは、平成27年1月1日以降に開始する事業年度より適用されることとされています。なお、適用すべき耐用年数は、金属製のものであれば15年、絵画・陶磁器・彫刻(金属製のものは除く)は8年とされます。なお、平成27年1月1日以降に開始する事業年度より適用があることとされていますので、最初に適用すべき当該事業年度に減価償却を行わなかった場合には非償却資産とされますので、注意が必要です。

⊡ 役員退職金の算定と税務上の取扱い(法人税)
 税務上妥当と認められる役員退職金の金額を巡っては、しばしば争いが見受けられます。
一般的に税務上も妥当と認められる退職金算定方式としては、平均功績倍率法によることが多いとされているようです。平均功績倍率法とは、退職時の最終報酬月額×役員在職年数×平均功績倍率=退職金額、をさします。しかし、退職時点では報酬月額を下げていることも多く(創業者の場合で相続税を考慮した場合の報酬引き下げの事前対策や業績不振による報酬引き下げなど)、この算定方式が必ずしも妥当とは言い切れない場合があります。
 ところで、役員退職金の算定方式として、年平均額法という別な方式があります。
年平均額法とは、類似法人の1年あたり退職給与の平均額×役員在職年数=退職金額、をさします。
国税不服審判所の採決事例では、この年平均額法を採用しているケースが見られます。ただ、この方式の最大の問題点は類似法人に関するデータが入手困難ということです。このような現状においていかなる算定方式を法人として採用するか、が課題です。一般的には退職金規定の整備とか株主総会等での決議と議事録の作成は常套対策としても、絶対的な対策は見出しがたいのが悩ましいところです。


⊡ 持分会社の役員報酬の税務上の取扱い(所得税・消費税)
 持分会社(合同会社、合資会社、合名会社)の社員(株式会社に規定する取締役に相当)は法人も就任できる事とされています。その場合には社員たる法人から業務執行すべき者を選定することとなりますが、役員報酬は法人への支払いとなるため所得税等の源泉徴収は不要ですし消費税については仕入税額控除が可能となります。

⊡ 相続があった場合の業務承継相続人の届出に関する注意事項(所得税)
 事業経営、不動産事業、山林経営を新たに承継する相続人が当該相続人の納税地を管轄する税務署への届出についての忘れがちな事項を記します。
①青色申告の承認申請の届出の提出期限
 ・相続発生日が1月1日~10月31日までの場合…相続発生日より4か月以内
 ・相続発生日が11月1日~12月31日までの場合…翌年2月15日まで
②減価償却方法の選定(引継ぎ)および届出
  被相続人が選定していた償却方法の引継ぎにあたり、その償却方法が法定償却方法ではない場合に は、改めて相続人が償却方法の届出をする必要があります。その場合の届け出期限は、相続により 取得した日の属する年分の確定申告書の提出期限となっています(建物については(旧)定額法のみと なっています。)。


令和2年所得税確定申告のチェックポイント
  確定申告にあたって忘れがちなポイントを、チェックリスト方式にて所得金額控除項目および所得税額控除項目に分けて記します。
1.所得金額控除(特別控除・損益通算及び繰越控除)項目
① 総合譲渡所得の特別控除額(50万円(長短合わせた所得金額の合計
 額を限度)まで)の適用を忘れていないか(金等貴金属の譲渡、自動
 車の譲渡など) 
② 総合譲渡所得のうち、5年超所有(譲渡した年の1月1日現在にお
 ける所有期間)の資産に係る長期譲渡所得はその2分の1に相当す
 る金額(50万円までの特別控除金額を控除して算出した後の金額
 )を所得金額としているか
③ 一時所得について、特別控除50万円の適用および特別控除後の
 所得金額の2分の1を一時所得金額としているか(収入を得るた
 めに支出した金額がある場合は当該金額を控除した残額につて適
 用すること)
④ 上場株式等に係る配当所得について、上場株式等に係る譲渡損失
 がある場合の損益通算及び繰越控除(連続して確定申告をしてい
 る場合に限る)の適用は忘れていないか(公社債投信等の利子につ
 いてもその対象としているか(平成28年1月1日以後に支払いを
 受けるものより適用))
⑤ 上場株式等に係る譲渡損失がある場合に、上場株式等の譲渡内で
 の損益通算及び繰越控除(連続して(かつ順番通りに)確定申告をし
 ている場合に限る)の適用は忘れていないか(特に、一般口座と特
 定口座の双方を保有している場合。(非上場株式との損益通算は平
 成28年1月1日以降は不可))
⑥ 先物取引に係る雑所得等についての雑所得内での損益通算及び繰
 越控除(連続して(かつ順番通りに)確定申告をしている場合に限
 る)の適用は忘れていないか
⑦ ゴルフ会員権・リゾート会員権の譲渡損失は他の所得と損益通算
 ができなくなっている(平成26年4月1日以後の譲渡より)
⑧ 土地建物等の譲渡損失はないものとされる(居住用資産の譲渡に係
 るものを除く)
⑨ 生活に通常必要でない資産の譲渡損失は他の所得と損益通算でき
 ない(仮想通貨、貴金属、競走馬、別荘など)
⑩ 個人に対する低額譲渡(時価の2分の1未満での譲渡の場合)によ
 る損失はなかったものとされる
⑪ 不動産所得の計算上生じた損失のうち、土地等を取得するために
 要した負債利子の金額に相当する部分の金額は損益通算の対象外
 とされる

⑫ 株式等の譲渡損失および先物取引による譲渡損失は他の所得との
 損益通算はできない
⑬ 組合事業または信託による不動産所得の損失は損益通算できない
 (不動産所得内でも不可)
⑭ 居住用財産の譲渡損失の他の所得との損益通算の特例の適用を忘
 れていないか(借入金を伴う買換・ 売切とも)また、損失が通算後
 の所得を上回る場合には3年間の繰越控除ができる
⑮ 株式等の譲渡所得および先物取引による所得は他の所得から発生
 した損失とは損益通算できない
⑯ 雑所得で発生した損失は他の所得との損益通算はできない
⑰ 雑損失(災害・盗難・横領により生じた損失(オレオレ詐欺などは対
 象外))の繰越控除は3年間可能
⑱ 純損失(青色申告をしている場合の損失の繰越)の繰越は3年間でき
 ること
⑲ 純損失(白色申告をしている場合の損失のうちに変動所得に生じた
 損失および被災事業用資産の損失がある場合の当該損失)の繰越控
 除は3年間できること
⑳ 寄附金、生命保険、地震保険、医療費、雑損、障害者、寡婦(夫)
 、勤労学生、配偶者(配偶者特別)、老人配偶者、扶養(16歳以上の
 親族で、老人扶養親族を含み年少扶養を除く)の各控除の適用要件
 の充足漏れはないか
㉑ 家内労働者等(シルバー人材センターなど)の事業所得または雑所得
 の所得計算上、最大55万円控除(令元年までは65万円まで)が認
 められていること
㉒ 青色申告特別控除は最大65万円であることを忘れていないか(事
 業所得と不動産所得がある場合では不動産所得の金額が黒字であ
 る限り最大65万円まで、不動産所得のみの場合は事業的規模(
 いわゆる5棟10室基準)を満たす場合には最大65万円の控除が
 受けられること(それ以外は10万円控除)。なお、令和2年度所得
 分よりe-taxによる申告によらない場合55万円が上限とさ
 れます。)
㉓ 構築物および建物付属設備の減価償却方法は定額法のみとされた
 こと(平成28年4月1日以後に取得等したものより適用)
㉔ 医療費控除に添付すべき書類が領収書原本から医療費明細書また
 は医療費通知書(保険者からのもの)に代えることとされたこと
 (この場合医療費領収書原本を納税者にて5年間保管することと
 されています(医療費通知書に係る分の領収書については保管義務
 はありません。)。なお令和2年所得税分より領収書原本提出また
 は提示は不可とされています。)

㉕ セルフメディケーションによる医療費控除を受ける場合には、㋐健康増進の
 ための一定の取組を明らかにする 書類(健康診断、予防接種など)
 の添付(領収書は原本、結果通知表はコピー可) ㋑明細書の添付(領
 収書は5年間納税者にて保管,なお令和2年所得税分より領収書原本
 提出または提示は不可とされています
) の双方が必要なこと(なお、
 この制度の対象となる特定一般医薬品(スイッチOTC医薬品といい
 ます。)を購入した場合の領収書は上記㉕の従前の医療費控除の対象
 ともなりますが重複はできません。)
㉖ 相続により取得した被相続人居住用財産を譲渡した場合の空き家
 譲渡の特例(3000万円控除特例)の適用および要件の充足漏れは
 無いか(この適用を受ける場合には相続税の取得費加算の特例は適用
 できません。)
㉗ 相続により取得した財産を相続に係る申告期限から3年以内に譲
 渡した場合の相続税の取得費加算の特例適用を忘れていないか

㉘ 先行取得土地等(平成21年及び22年の2年間に土地等を取得
 し5年超の保有期間が経過した当該土地等)を譲渡した場合の譲
 渡所得の1000万円の特別控除の適用を失念していないか。
㉙ 配偶者(特別)控除の対象となる本人所得制限を失念していないか
 所得金額が1000万円超の場合は適用不可、配偶者控除の場合は
 900万円以下であること(38万円控除)、900万円超1000万円
 以下は配偶者特別控除(26万円ないし13万円控除)が適用され
 る(配偶者が70歳以上の場合は各上乗せがあること)こと
㉚ ふるさと納税の所得控除額および住民税額控除の計算は正しいか
(ワンストップ申告特例を受けた場合は確定申告をすると改めて計
 算しなおす必要があること)
㉛ 令和2年度以後給与収入額が850万円を超える居住者について、
 本人が特別障害者に該当する場合・23歳未満の扶養親族を有する
 場合・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する場
 合
の給与所得控除の上乗せ(最大15万円。所得金額調整控除といい
 ます。)制度が創設されたこと
㉜ ひとり親控除の創設
 現に婚姻をしていない等の居住者本人が、生計を一にする子(所得
 金額が48万円以下の者)を有している場合につき、その年の所得
 金額が500万以下である場合など一定の要件を満たす場合には、
 35万円の控除を受けることができること(令和2年分の所得税より
 適用)

2.所得税額控除項目
① 配当控除の
適用対象外配当金等
 ;上場株式等の配当所得に申告分離課税を選択した場合の配当所
  得、確定申告をしないことを選択した年換算10万円以下の配当
  所得、NISA配当所得、外国株式配当所得
② 中小企業者が機械等を取得した場合の税額控除の適用を忘れてい
 ないか
③ 給与等の上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除の適用を失念
 していないか
⑤ 生産性向上設備等を取得した場合の所得税の特別控除の適用を忘
 れていないか
⑥ 所得税の額から控除される特別税額が超過した場合(調整前事業所
 得税額の90%を超過した場合)の繰越の適用(および繰越控除除
 外)を忘れていないか
⑦ 住宅取得・増改築等に伴う借入金等特別控除の適用要件は満たし
 ているか
 ;合計所得金額要件(3000万円以下の年のみ)、住宅要件、対象借
 入金の範囲、居住用財産の譲渡所得の特別控除を居住年を含む過
 去2年間に
受けていない(空き家譲渡の特例の場合は除きます。
 )こと、当該特別控除を受けた年の翌年以後3年以内に旧自宅譲渡
 に伴う居住用財産の特別控除の適用を受けていないこと(令和2年
 度所得税より)等
⑧ 政治活動に関する寄附金・認定NPO法人等に対する寄附金の税額
 控除は所得控除と税 額控除との有利な方を選択適用しているか
⑨ 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税の特別控除(最高25万
 円、借入金特別控除との選択、所得上限なし)
の要件を満たして
 いるか
 ;対象となる住宅の範囲、対象となる耐震改修、対象となる区域
⑩ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税の特別控除
(標準的費用の10%が上限、借入金特別控除との選択)の要件を
 満たしているか
 ;他の特別控除制度との重複適用は不可、合計所得金額(3000万
  円以下の年)要件、過去3年内の適用の場合は不可等
⑪ 認定住宅の取得をした場合の特別控除(最高50万円)の要件を
 満たしているか
 ;対象となる住宅の範囲、合計所得金額要件(3000万円以下、翌
  年の所得金額が3千万円超の場合には前年での控除未済税額控
  除額があっても翌年での控除は適用は不可)
⑫ 外国税額控除の適用要件を満たしているか;計算式に誤りが無い
 こと・適用対象外国所得税の要件を充足していること・外国税額
 の邦貨換算は正しく行われているか・租税条約によるみなし外国
 税額も対象としているか・3年間の繰越控除ができること

3.給与収入が2000万円以下でその他の所得が20万円以下であ
 る場合には確定申告不要とされますが、例外として、その給与の支
 払い者から事業の用に供する不動産・その他の資産の対価の支払
 いを受けている場合には確定申告が必要なこと
4.譲渡所得計算のための、建物取得価額算定のための基礎データが
  国税庁より公表されています建築価額表(建築価額表S47~H27)

5 . 住民税と異なる申告方式の採用
 
 所得税では総合課税を選択した上場株式等に係る配当所得につい
 て配当控除を受けたうえで、地方税を別途申告(配当所得について
 申告分離課税とする申告)することにより、住民税課税対象となる
 所得金額から除外することができる(ただし住民税の配当控除は受
 けられません)
こと、さらに国民健康保険などの社会保険料の課税
 標準はからも除外できること


6. マイナンバーの記載もれのないこと
 平成28年分の確定申告よりマイナンバーの記載が強制されてい
 ます。納税者本人のみならず扶養親族も対象となります(なお、
 申告書の控にはマイナンバーの記載は不要とされています。)

7. 国外財産調書・合計表の提出
  居住者(非永住者を除く。)で、その年の12月31日現在におけ
 るその価額(邦貨換算額)の合計額が5000万円を超える国外
 財産を有する場合には、当該財産の種類、数量及び価額その他必
 要な事項を記載した「国外財産調書」(同合計表)を、その年の
 翌年の3月15日までに提出しなければなりません(提出がなく
 または記載漏れがあった場合に当該国外財産に関する所得税の申
 告漏れがあった場合には、5%の過少申告加算税が上乗せして課
 される他、偽りの記載があった場合及び期限後提出の場合には1
 年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることとされて
 います。)。

 




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