Column

2023.01.07

令和4年所得税確定申告のチェックポイント

所得税

 確定申告にあたって忘れがちなポイントを、チェックリスト方式にて所得金額控除項目および所得税額控除項目に分けて記します。

1.所得金額控除(特別控除・損益通算及び繰越控除)項目

    • ① 総合譲渡所得の特別控除額(50万円(長短合わせた所得金額の合計額を限度)まで)の適用を忘れていないか(金等貴金属の譲渡、自動車の譲渡など)
    • ② 総合譲渡所得のうち、5年超所有(譲渡した年の1月1日現在における所有期間)の資産に係る長期譲渡所得はその2分の1に相当する金額(50万円までの特別控除金額を控除して算出した後の金額)を所得金額としているか
    • ③ 一時所得について、特別控除50万円の適用および特別控除後の所得金額の2分の1を一時所得金額としているか(収入を得るために支出した金額がある場合は当該金額を控除した残額につて適用すること)
    • ④ 上場株式等に係る配当所得について、上場株式等に係る譲渡損失がある場合の損益通算及び繰越控除(連続して確定申告をしている場合に限る)の適用は忘れていないか(公社債投信等の利子についてもその対象としているか(平成28年1月1日以後に支払いを受けるものより適用))
    • ⑤ 上場株式等に係る譲渡損失がある場合に、上場株式等の譲渡内での損益通算及び繰越控除(連続して(かつ順番通りに)確定申告をしている場合に限る)の適用は忘れていないか(特に、一般口座と特定口座の双方を保有している場合。(非上場株式との損益通算は平成28年1月1日以降は不可))
    • ⑥ 先物取引に係る雑所得等についての雑所得等内での損益通算(申告分離課税の対象となる先物取引で、暗号資産、海外通貨取引に係るものを除く)及び損失の繰越控除(連続して(かつ順番通りに)確定申告をしている場合に限る)の適用は忘れていないか
    • ⑦ ゴルフ会員権・リゾート会員権の譲渡損失は他の所得と損益通算ができなくなっている(平成26年4月1日以後の譲渡より)
    • ⑧ 土地建物等の譲渡損失はないものとされる(居住用資産の譲渡に係るものを除く)
    • ⑨ 生活に通常必要でない資産の譲渡損失は他の所得と損益通算できない(仮想通貨、貴金属、競走馬、別荘など)
    • ⑩ 個人に対する低額譲渡(時価の2分の1未満での譲渡の場合)による損失はなかったものとされる
    • ⑪ 不動産所得の計算上生じた損失のうち、土地等を取得するために要した負債利子の金額に相当する部分の金額は損益通算の対象外とされる
    • ⑫ 組合事業または信託による不動産所得の損失は損益通算できない(不動産所得内でも不可)
    • ⑬ 国外中古建物に係る国外不動産所得の損失(減価償却費のうち一定の部分、令和3年以後の所得につき適用)は他の所得との損益通算はできない
    • ⑭ 居住用財産の譲渡損失の他の所得との損益通算の特例の適用を忘れていないか(借入金を伴う買換・ 売切とも)、また、損失が通算後の所得を上回る場合には3年間の繰越控除ができる
    • ⑮ 株式等の譲渡所得および先物取引による所得は他の所得から発生した損失とは損益通算できない
    • ⑯ 雑所得で発生した損失は他の所得との損益通算はできない
    • ⑰ 雑損失(災害・盗難・横領により生じた損失(特殊詐欺などは対象外))の繰越控除は3年間可能
    • ⑱ 純損失(青色申告をしている場合の損失の繰越)の繰越は3年間できること
    • ⑲ 純損失(白色申告をしている場合の損失のうちに変動所得に生じた損失および被災事業用資産の損失がある場合の当該損失)の繰越控除は3年間できること
    • ⑳ 寄附金、生命保険、地震保険、医療費、雑損、障害者、寡婦(夫)、勤労学生、配偶者(配偶者特別)、老人配偶者、扶養(16歳以上の親族で、老人扶養親族を含み年少扶養を除く)の各控除の適用要件の充足漏れはないか
    • ㉑ 家内労働者等(シルバー人材センターなど)の事業所得または雑所得の所得計算上、最大55万円控除(令元年までは65万円まで)が認められていること
    • ㉒ 青色申告特別控除は最大65万円であることを忘れていないか(事業所得と不動産所得がある場合では不動産所得の金額が黒字である限り最大65万円まで、不動産所得のみの場合は事業的規模(いわゆる5棟10室基準)を満たす場合には最大65万円の控除が受けられること(それ以外は10万円控除)。なお、令和2年度所得分よりe-taxによる申告によらない場合55万円が上限とされます。)
    • ㉓ 構築物および建物付属設備の減価償却方法は定額法のみとされたこと(平成28年4月1日以後に取得等したものより適用)
    • ㉔ 医療費控除に添付すべき書類が領収書原本から医療費明細書または医療費通知書(保険者からのもの)に代えることとされたこと(この場合医療費領収書原本を納税者にて5年間保管することとされています(医療費通知書に係る分の領収書については保管義務はありません。)。なお令和2年所得税分より領収書原本提出または提示は不可とされています。)
    • ㉕ セルフメディケーションによる医療費控除を受ける場合には、㋐健康増進のための一定の取組を明らかにする 書類(健康診断、予防接種(コロナ感染症予防接種は除く)など)の添付(領収書は原本、結果通知表はコピー可) ㋑明細書の添付(領収書は5年間納税者にて保管,なお令和2年所得税分より領収書原本提出または提示は不可とされています) の双方が必要なこと(なお、この制度の対象となる特定一般医薬品(スイッチOTC医薬品といいます。)を購入した場合の領収書は上記㉕の従前の医療費控除の対象ともなりますが重複はできません。)
    • ㉖ 相続により取得した被相続人居住用財産を譲渡した場合の空き家譲渡の特例(3000万円控除特例)の適用および要件の充足漏れは無いか(この適用を受ける場合には相続税の取得費加算の特例は適用できません。)
    • ㉗ 相続により取得した財産を相続に係る申告期限から3年以内に譲渡した場合の相続税の取得費加算の特例適用を忘れていないか
    • 配偶者(特別)控除の対象となる本人所得制限を失念していないか所得金額が1000万円超の場合は適用不可、配偶者控除の場合は900万円以下であること(38万円控除)、900万円超1000万円以下は配偶者特別控除(26万円ないし13万円控除)が適用される(配偶者が70歳以上の場合は各上乗せがあること)こと
    • ㉙ ふるさと納税の所得控除額および住民税額控除の計算は正しいか(ワンストップ申告特例を受けた場合は確定申告をすると改めて計算しなおす必要があること)
    •  令和2年度以後給与収入額が850万円を超える居住者について、本人が特別障害者に該当する場合・23歳未満の扶養親族を有する場合・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する場合の給与所得控除の上乗せ(最大15万円。所得金額調整控除といいます。)制度が創設されたこと、また、給与所得控除後の給与所得金額および公的年金等に係る雑所得の金額がある場合に、これらの金額の合計額が10万円超えるものについてその合計額から10万円を控除できること
    • ㉛ ひとり親控除の創設
      現に婚姻をしていない等の居住者本人が、生計を一にする子(所得金額が48万円以下の者)を有している場合につき、その年の所得金額が500万以下である場合など一定の要件を満たす場合には、35万円の控除を受けることができること(令和2年分の所得税より適用)

2.所得税額控除項目

  • ① 配当控除の適用対象外配当金等
    上場株式等の配当所得に申告分離課税を選択した場合の配当所得、確定申告をしないことを選択した年換算10万円以下の配当所得、NISA配当所得、外国株式配当所得
  • ② 中小企業者が機械等を取得した場合の税額控除の適用を忘れていないか
  • ③ 給与等の上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除の適用を失念していないか
  • ⑤ 生産性向上設備等を取得した場合の所得税の特別控除の適用を忘れていないか
  • ⑥ 所得税の額から控除される特別税額が超過した場合(調整前事業所得税額の90%を超過した場合)の繰越の適用(および繰越控除除外)を忘れていないか
  • ⑦ 住宅取得・増改築等に伴う借入金等特別控除の適用要件は満たしているか・・・合計所得金額要件(床面積50㎡以上の場合は2000万円(令和3年以前は3000万円)以下、床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1000万円以下の年のみが其々控除対象)、住宅要件、対象借入金の範囲、居住用財産の譲渡所得の特別控除を居住年を含む過去2年間に受けていない(空き家譲渡の特例の場合は除きます。)こと、当該特別控除を受けた年の翌年以後3年以内に旧自宅譲渡に伴う居住用財産の特別控除の適用を受けていないこと(令和2年度所得税より)、税額控除率が令和4年1月1日以後取得のものより0.7%に引き下げられたこと等
  • ⑧ 政治活動に関する寄附金・認定NPO法人等に対する寄附金の税額控除は所得控除と税 額控除との有利な方を選択適用しているか
  • ⑨ 既存住宅の耐震改修をした場合の所得税の特別控除(最高25万円、借入金特別控除との選択、所得上限なし)の要件を満たしているか・・・対象となる住宅の範囲、対象となる耐震改修、対象となる区域
  • ⑩ 既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税の特別控除(標準的費用の10%が上限、借入金特別控除との選択)の要件を満たしているか・・・他の特別控除制度との重複適用は不可、合計所得金額(2000万円(令和3年以前は3000万円)以下の年)要件、過去3年内の適用の場合は不可等
  • ⑪ 認定住宅の取得をした場合の特別控除(最高50万円)の要件を満たしているか・・・ 対象となる住宅の範囲、合計所得金額要件(2000万円(令和3年以前は3000万円)以下、翌年の所得金額が2千万円超(令和3年以前は3千万円超)の場合には前年での控除未済税額控除額があっても翌年での控除は適用は不可)
  •  外国税額控除の適用要件を満たしているか・・・計算式に誤りが無いこと・適用対象外国所得税の要件を充足していること・外国税額の邦貨換算は正しく行われているか・租税条約によるみなし外国税額も対象としているか・3年間の繰越控除ができること

3.給与収入が2000万円以下かつその他の所得金額が20万円以下である場合には確定申告不要とされますが、例外として、その給与の支払い者から事業の用に供する不動産・その他の資産の対価の支払いを受けている場合には確定申告が必要なこと

4.譲渡所得計算のための、建物取得価額算定のための基礎データが 国税庁より公表されています(建築価額表S49~H30)。(建物建築価額表

5.住民税と異なる申告方式の採用

 所得税では総合課税を選択した上場株式等に係る配当所得について配当控除を受けたうえで、地方税を別途申告(配当所得について申告分離課税とする申告)することにより、住民税課税対象となる所得金額から除外することができる(ただし住民税の配当控除は受けられません)こと、さらに国民健康保険などの社会保険料の課税標準はからも除外できること(令和4年分の所得税まで)

6.雑所得を生ずべき業務を行う居住者又は一定の国内源泉所得に係る雑所得を生ずべき業務を行う非居住者の書類の保存義務および書類添付義務(令和4年分の所得税より)

①その年の前々年(2年前)の業務に係る雑所得の基因となる収入金額が300万円を超える場合・・・当該取引に係る現金の収受・支払または預金の受け入れ・引出しに際して作成された書類の保存(5年間保存)

②その年の前々年(2年前)の業務に係る雑所得の基因となる収入金額が1000万円を超える者(居住者のみ)・・・収支内訳書の確定申告書への添付

7.国外財産調書・合計表の提出

居住者(非永住者を除く。)で、その年の12月31日現在におけるその価額(邦貨換算額)の合計額が5000万円を超える国外財産を有する場合には、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」(同合計表)を、その年の翌年の3月15日までに提出しなければなりません(提出がなくまたは記載漏れがあった場合に当該国外財産に関する所得税の申告漏れがあった場合には、5%の過少申告加算税が上乗せして課される他、偽りの記載があった場合及び期限後提出の場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることとされています。)。国外財産調書・書き方

8.財産債務調書・合計表の提出

所得税の確定申告書の提出義務者(死亡者は除く。)で、その年の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2000万円を超え、かつ令和4年12月31日現在、その価額の合計額3億円以上の財産又は1億円以上の国外転出特例対象財産(有価証券、デリバティブ取引など)を有する場合には、当該財産の種類・数量・価額及び債務の金額その他必要事項を記載した財産債務調書(同合計表)を令和5年3月15日までに提出する必要があります(国内外の財産を含みますが、「国外財産調書」を提出した者は国外財産に関する事項の記載は省略することとされます。)。財産債務調書・書き方

9.マイナンバーの記載もれのないこと

平成28年分の確定申告よりマイナンバーの記載が強制されています。納税者本人のみならず扶養親族も対象となります(なお、申告書の控にはマイナンバーの記載は不要とされています。)

10.その他

・倒産防止共済(経営セーフティー共済)掛金の必要経費額の明細書の作成提出をしていること特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書)

・青色申告の承認を受けている者の少額減価償却資産(取得価額30万円未満かつ年間合計限度額300万円以下)の青色申告決算書への明細記載をしていること(措置法28の2)

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