News&Topics

2020.01.07

法人税

令和2年度税制改正 法人税

(1)グループ通算制度への移行(連結納税制度の見直し)

  • (基本的仕組み)
  • ①完全支配関係を有する法人間の親法人の決算期に基づいた申告をしなければならないこと
  • ②グループ通算制度適用法人は各法人が法人税等の確定申告をしなければならないこと
  • ③グループ通算制度適用法人は各法人がe-taxによる申告をしなければならないこと
  • (損益通算)
  • ①欠損法人の欠損金額の合計金額を所得法人の所得に配分し、所得法人の所得金額を欠損法人に配分する計算方式をとること(グループ通算制度適用法人の全ての法人が欠損となる場合は適用除外)
  • ②欠損金額及び所得金額は期限内申告に記載された金額を基礎として計算されること
  • (欠損金の通算)
  • ①欠損金の繰越控除の計算は連結納税制度と同様とすること
  • ②当期所得金額及び繰越欠損金額は期限内申告に記載された金額を基礎として計算されること
  • (租税回避防止策)
  • ①欠損金の繰越期間制限の潜脱および離脱法人に欠損金を帰属させる防止策として、誤った当初申告をしたと認められるときは税務署長権限により適用除外とされること
  • ②通算グループ内の子法人の株式評価損およびグループ内株式の譲渡損益は計上できないこと
  • ③通算グループからの離脱法人の離脱直前の帳簿価額は簿価純資産価額とすること(時価純資産価額相当金額となることに注意)
  • ④親法人との間に完全支配関係の継続が見込まれない子法人の株式について、株主において時価評価損益を計上すること
  • ⑤包括的な租税回避行為防止規定の創設

(適用税率)

原則として通算グループ内の各法人の適用税率とされるが、中小法人の軽減税率の適用対象所得金額は、年800万円をグループ法人の所得金額の比で配分するため、上限はグループ法人全体で800万円とされること

(グループ通算制度適用前欠損金および資産の含み損の制限)

支配関係発生5年経過日と グループ通算制度適用開始または加入から3年を経過する日の何れか早い日までその制限を行うこと

  • ①支配関係発生後に新たな事業を開始した場合
  • ②原価及び費用の合計額に占める損金算入される減価償却費の割合が30%を超える場合、通算グループ内で生じた欠損金を損益通算の対象外とし、特定欠損金(その法人の所得の金額を限度として控除可能とされる欠損金)とすること
  • ③①および②に該当しない欠損金のうち、支配関係発生前から有する資産の実現損からなる欠損金については、損益通算の対象外としてうえで、特定欠損金とすること
  • (グループ通算制度適用前欠損金および資産の含み損の制限の適用対象外)
  • ①親法人との間に支配関係が5年超ある法人
  • ②一定の共同事業要件を満たす法人
  • (通算グループからの離脱規定の創設)
  • ① 通算グループから離脱した法人は5年間再加入が認められないこと
  • ② 通算グループから離脱した法人が主要な事業を継続しないことが見込まれる場合、その有する資産について直前の事業年度において時価評価により評価損益の計上を行う必要があること
  • (グループ通算制度への移行に合わせた単体納税制度の見直し)
  • ①受取配当金の益金不算入制度の見直し
  • ②寄附金の不損金入制度について、資本金の額及び資本準備金の額の合計額を基準とすること(改正前は資本金等の額)
  • ③貸倒引当金の設定について、100%グループ内の法人間の金銭債権を引当金の対象から除外すること
  • ④資産の譲渡に係る特別控除の特例について、グループ内の特別控除の合計金額を年5000万円以下とすること(超える部分の金額は損金不算入となる)
  • ⑤中小判定
    各中小法人判定について、通算グループ内のいずれかの法人が中小法人に該当しない場合は通算グループ内の全ての法人が中小法人に該当しないこととされること
    (適用関係;令和4年4月1日以後開始事業年度より適用)

(子会社配当金にかかわる制限)

他の会社の議決権の50%超を有する(特定支配関係)法人がその被支配会社から配当金を受け取る場合の子会社帳簿価額の修正措置の創設

  • …株式の帳簿価額の10%を超える配当金を受け取る場合、その超過部分の金額は当該株式の帳簿価額から控除することとするもの(除外規定は以下の通り)
    • イ. 被支配会社の設立の日から90%以上を保有している場合
    • ロ. 2000万円を超えない配当金
    • ハ. 特定支配関係発生日から10年経過後に受取る配当金等
      (適用関係;令和2年4月1日以後開始事業年度分の法人税より適用)

(2)中小企業等の支援

(オープンイノベーションに係る措置の創設)

特定事業活動を行う青色申告法人(注1)が、令和2年4月1日から同4年3月31日までの間に一定の株式(特定株式(注2))を取得しかつ、取得事業年度末まで有している場合、その取得価額の25%相当金額以下の金額を当該取得事業年度の損金(特別勘定による)に計上することが認められるという制度です(地方税においても所要の措置)。

  • (注1) 自らの経営資源以外の経営資源を活用し、高い生産性が見込まれる事業を行うこと又は新たな事業の開拓を行うことを目指す株式会社等をいいます(対象法人という)。
  • (注2) 産業競争力強化法の新規事業開拓事業者の内、同法に規定する特定事業活動に資する事業を行う内国法人(設立10年未満のものに限定)又はこれに類する外国法人の株式で、次の要件を満たすことにつき経済産業省の証明があるもの(特定新規開拓事業者という)
  • ①対象法人が取得するもの又はその対象法人が出資する投資事業有限責任組合への出資比率が50%超である場合の当該組合財産の全てが特定株式であること
  • ②増資に伴う払込による取得であること
  • ③②の払込金額が1000万円以上であること(中小企業者以外にあっては1億円以上とし、外国法人への払込の場合は5億円以上であること)
  • ④対象会社にとってその特定株式の取得が、その事業活動事態の高い生産性 が見込まれるものであること又はあらたん事業の開拓に資することとなること(単なる投資行為ではないこと)

(3)措置法上の改正(主要なもの)

  • ・長期及び短期土地譲渡益の追加課税の適用停止措置の期限の3年の延長
  • ・中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻し還付制度の不適用措置の2年の延長
  • ・設備廃棄等欠損金額の繰戻還付の特例の廃止
  • ・少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限の2年の延長
  • ・同特例対象法人から連結法人および常時使用する従業員数要件について500人超(改正前1000人超)の法人を除外
  • ・交際費の損金不算入制度の適用期限の2年の延長

(4)その他

  • (国税)
  • ・樹木採取権(国有林野に係わるもの)を減価償却資産として創設(無形固定資産)
  • ・過大役員給与の形式基準についてその法人の株式又は新株予約権の上限数を定款において定めた場合の限度額の計算を、その支給時の価額を基準とすること
  • ・売買目的有価証券の時価評価金額の見直し(事業年度終了日の公表最終価格がない場合)

(市場有価証券;取引所・店頭・取扱・その他公表各有価証券)

直近公表価格に基づく合理的価格(改正前;直近公表最終価格)とすること

(市場有価証券以外の有価証券(株式又は出資を除く))

類似銘柄の有価証券について公表された事業年度終了日の最終の売買価格又は利率その他指標に基づく合理的な方法により算出した価格とすること
上記につき、合理的方法として採用した理由の開示保存義務の創設

  • ・有価証券に係る価額の著しい低下に基づく評価損の計上対象となる有価証券の範囲についての見直し
  • ・貸倒引当金の対象となる金銭債権から債券を除外すること
  • ・デリバティブ取引に係る未決済取引のみなし決済損益額(市場デリバティブ取引等の最終市場価格による授受額を除く)の算定方法に用いた合理的方法の採用理由および算定の基礎事項の開示保存義務の創設

(上記有価証券にかかる適用関係)

令和2年4月1日以後終了事業年度より適用(令和3年3月31日までの各終了事業年度については経過措置として改正前の規定を適用することができることとされています。)

  • ・マンション建替え等の円滑化法改正を基にした改正
    • イ. 敷地分割組合を公益法人等とみなして収益事業以外の所得を非課税とすること
    • ロ. マンション敷地売却組合の業務範囲の見直し後も公益法人等とみなすこと

税額シミュレーション

業務内容

法人の税務相談

個人の税務相談

経理記帳代行業務

税務書類の作成

税務申告代理

法人の設立

監査業務

メールによる税務相談