2023.04.13
返品・値引・割戻し等、売上の返還に該当する取引に係る返還インボイスの交付義務が免除されることとなりました。対象は全ての事業者とされます。この規定の新設により、売上代金の振込入金時に差引かれる手数料相当額について対価の返還インボイスの発行が不要とされます。この場合において、会計上売上の返還(値引き等)処理をすることが前提とされますので、従来支払手数料処理していた場合は会計処理の変更をする必要があります(支払手数料として会計処理する場合は、別途仕入明細書ないし立替金精算書等の作成が必要となります。)。また、対価の返還とする以上、その適用税率も売上に対応する税率を適用することとなります(例えば10%税率の売上対価の返還であれば返還に係る消費税の控除も10%となり、8%税率の売上対価の返還であれば同控除も8%の税率を適用することとなります。)。
令和5年10月1日~令和11年9月30日の期間に行う、税込価格が1万円未満の課税仕入れ取引に係る仕入税額控除につき、インボイスについて保存不要とされました(帳簿への記載のみ(注)。また、特定期間の課税売上高が5000万円以下の事業者についても適用があります。この結果免税事業者からの仕入れであっても、この要件を満たす取引であればインボイス不要となります。)。
(注)一般的な帳簿への記載事項は次の通り。
① 課税仕入れの相手先氏名・名称(住所等は不要)
② 課税仕入れの日
③ 課税仕入れの内容
④ 支払い対価の額
なお、法人税法・所得税法上青色申告者は、領収書等の保存義務がありますので全く不要ということではありません。
次の取引については、課税仕入れ事業者は帳簿記載のみ(注)とされます。①税込み価額が3万円未満の公共機関による旅客の運賃および自動販売機等による購入②郵便切手類が対価となる郵便・貨物取引③従業員等に支給する通常要する旅費交通費等④入場券等が回収される取引⑤事業者の棚卸資産として仕入を行う一定の資産(古物営業法に基づく古物、質屋営業に基づく質物、再生資源等、宅地建物取引事業者が買い受けた建物)⑤その他取引の状況からインボイスの交付を受けることが著しく困難な取引として省令で定めるものについて、すべての事業者に適用されます(消令49、消規15の4・26の6)。
(注)一般的な帳簿への記載事項は次の通り。
① 課税仕入れの相手先氏名・住所(自販機利用の場合は当該場所(○○市等)、利用自販機種類等)
② 課税仕入れの日
③ 課税仕入れの内容
④ 支払い対価の額
令和5年10月1日~令和8年9月30日の日の属する各課税期間において、消費税納税額を課税売上高に基づいて計算した税額の20%相当額とすることができることとされました(納税者の選択によります。)。消費税の確定申告時にこの特例を受ける旨の記載があればよいこととされ、届出は不要とされます(簡易課税方式を選択した場合でもこの適用があります。)。なお、この特例は「免税事業者」が対象とされるため、納税義務の免除の特例(納税義務が免除されない事業者の納税義務(相続、合併を含みます。))および基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合の事業者については適用がありません(ただし、相続があった場合でインボイス登録後の相続により事業を引継いだ場合は2割特例が適用されることとされています。)。
令和5年10月1日からのインボイス登録申請期限が同年3月31日とされていましたが、4月1日以降であっても同年9月30日までに登録申請されたものは、令和5年10月1日に登録を受けることができることとされました(登録完了日が10月1日以後であっても10月1日の登録日扱いとされます。)。また令和5年10月1日後(令和11年9月30日までに、その属する課税期間)に免税事業者が希望日の初日から登録を希望する場合、その15日前((両端入れ日数)で計算しますので土日休日は考慮しません。)までに登録申請すればよいことされました(例えば個人事業者が令和5年12月1日から登録を希望する場合は、その15日前の同年11月16日までに登録申請すればよいということとなります。)。
令和5年10月1日から同11年9月30日までの日の属する課税期間中に、免税事業者が、インボイス登録を受ける日の属する課税期間中に当該課税期間に簡易課税の適用を受ける旨の届出(「消費税簡易課税制度選択届出書」といいます。)を提出することにより当該課税期間より簡易課税の適用を受けることが可能となります。
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