(1)外国子会社合算税制等の総合的見直しがされました。
- 1. 外国関係会社の判定割合における間接保有割合の判定方法について、内国法人等との間に50%超の株式等保有割合の連鎖関係を有する外国法人が外国関係会社に該当することとされました。
- 2. 外国法人の残余財産のおおむね全部を請求することができる等の関係がある場合の当該外国法人を外国関係会社の範囲に加えるとともに、当該関係を有する居住者または内国法人を外国子会社合算税制の対象とすることとされました。
- 3. 特定外国子会社等の判定基準について租税負担割合基準が廃止されました。
- 4. 会社単位の外国子会社合算税制の適用除外基準の見直し
- a.経済活動基準の導入(以下のすべての基準を満たすこと)
- ア. 事業基準…航空機貸付事業外国関係会社についての役員・従業員要件の厳格化
- イ. 実体基準および管理支配基準…保険業委託外国関係会社についての当該基準の充足の判定を受託者が当該基準を満たしているか否かで行うこと
- ウ. 所在地国基準…製造業外国関係会社について本店所在地国における重要業務の有無で判定
- エ. 非関連者基準…予め関連者へ移転又は提供されることが定まっている場合の取引のみなし関連者取引判定の導入(航空機貸付事業および保険業を除く。)
- オ. 国税当局への書類等の提出がない場合の経済活動基準の否認規定の導入
- b.合算税制等適用対象となる所得金額の計算
・・・持分割合25%以上の外国法人からの受取配当を除外。
- c.適用免除
会社単位の外国子会社合算課税の適用対象となる外国関係会社の所得に課される租税負担割合が20%以上である場合には当該制度の適用除外とされました。
- 5. 一定所得の部分合算課税制度の見直し
- a.部分合算課税制度の対象となる所得の範囲
- ア. 利子(一定の要件を満たす貸付利子および預金利子を除く。)
- イ. 配当等(持分割合が25%以上等の要件を満たす法人からの配当は除外。)
- ウ. 有価証券の貸付の対価
- エ. 有価証券の譲渡損益、デリバティブ取引損益、外国為替損益および類似取引所得(ヘッジ目的のものを除く。)
- オ. 有形固定資産の貸付の対価(本店所在地国使用のもの等を除く。)
- カ. 無形資産等の使用料(一定のものを除く。)
- キ. 無形資産等の譲渡損益(一定のものを除く。)
- ク. 外国関係会社の利益の額からアからキまでの所得金額および一定の計算方法により算定した所得控除金額を控除した残額に相当する金額
- b.部分合算税制等適用対象金額に係る欠損金の繰越控除
・・・上記エおよびキの金額がマイナスである場合の当該マイナス金額の繰越欠損金からの除外
- c.金融子会社等に係る部分合算課税制度の例外
一定の要件を満たす金融子会社等については合算対象となる所得の範囲に例外規定が設けられました。
- d.適用免除
- ア. 部分合算課税の適用対象となる外国関係会社の所得に課される租税負担割合が20%以上である場合には当該制度の適用除外とされました。
- イ. 少額免除基準金額の引き上げ
…2000万円以下に引き上げ(従来は1000万円以下。)
- 6. 会社単位の合算課税制度適用対象となる特定の外国関係会社(特例規定)
- a.以下の要件全てを満たさない外国関係会社
- ア. 事務所等の固定施設を有していること
- イ. 本店所在地国において事業の管理、支配および運営を自ら行っていること
- ウ. 国税当局の当該職員から提出を求められた書類等が期限までに提出されること
- b.総資産に対する所得金額の割合が30%超であること(総資産に含まれる有価証券・貸付金および無形固定資産等の合計割合が50%超である外国関係会社に限られます。)
- c.租税に関する情報の交換に非協力的な国または地域として財務大臣が指定する国または地域に本店等を有する外国関係会社
- d.外国関係会社の租税負担割合が30%未満である場合
- *上記の改正は、平成30年4月1日以後に開始する外国関係会社の事業年度より適用されます。