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2022.05.06

所得税

令和4年度税制改正 所得税 地方税

(1)住宅ローン控除制度の見直し

環境性能等の優れた住宅の普及促進を図るべく、また、コロナ感染症による経済の低下からの回復を期しての住宅ローン控除制度の大幅な見直しがされました(令和4年1月1日から同7年12月末までの入居分が対象)。

①対象住宅・借入限度額の見直し

イ.認定住宅:認定長期優良住宅・認定低炭素住宅(()は既存住宅の場合)

…借入限度額:5000万円(令和6・7年は4500万円)(3000万円)

ロ.ZEH水準省エネ住宅:断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級6(日本住宅性能表示基準)

…借入限度額:4500万円(令和6・7年は3500万円)(3000万円)

ハ.省エネ基準適合住宅:断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上(日本住宅性能表示基準)

…借入限度額:4000万円(令和6・7年は3000万円)(3000万円)

ニ.その他の住宅(省エネ住宅等非該当住宅)

…借入限度額:3000万円(令和6・7年は0)(2000万円)

②税額控除率・控除期間の見直し

イ.税額控除率;0.7%(従前は1%(注))

(注)令和2年10月1日から令和3年9月30日までの間に建築請負契約を締結または令和2年12月1日から令和3年11月30日までの間に売買契約を締結し令和4年中に入居する場合は1%の控除率が適用

ロ.控除期間;13年(既存住宅および令和6.7年入居新築等「その他の住宅」は10年)

③所得要件の見直し

所得要件;合計所得金額2000万円以下(従前は3000万円以下)、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅(令和5年12月31日以前の建築確認を受けたものの新築等の取得を含む(既存住宅は適用不可))は1000万円以下

④省エネ住宅等非該当の住宅取得のローン控除適用除外

イ.上記①イ~ハの省エネ住宅に該当しない住宅(①ニ該当住宅)の不適用

…令和6年1月1日以後建築確認を受ける住宅用家屋(同年6月30日以前の登記簿上の建築日付のものを除く)、または建築確認を受けない新築等の住宅用家屋で登記簿上の建築日付が同年7月1日以降のもので省エネ住宅等に該当しないもの

ロ.旧耐震基準既存家屋(登記簿上の建築日付が昭和56年12月31日以前の建築家屋の不適用(住宅取得等資金贈与の特例制度においても適用対象外)                           

…令和4年1月1日以後に居住の用に供したすべての旧耐震基準既存家屋

⑤確定申告手続きの簡素化

入居年が令和5年1月1日以後となる住宅ローン控除の適用を受けようとする者は、当該ローンにかかわる年末残高証明書および新築工事の請負契約書の写し等の書面について確定申告書への添付が不要とされます。その前提として以下の要件を満たすこととされています。

・住宅借入金等に係る一定の債権者に対して債務者個人の個人番号を含む一定の事項を記載した「住宅ローン控除申請書」を提出すること

・「住宅ローン控除申請書」の提出を受けた債権者は、住宅ローン控除期間の各年の10月31日まで(提出を受けた日の属する年の翌年については1月31日まで)に、その債権者の本店等所在地の所轄税務署長に一定の事項(各控除年末の借入金残高等)を記載した調書を提出すること

・住宅ローン控除の適用を受けようとする者は確定申告期限等から5年間新築工事の請負契約書の写し等の書面を保管し、その提示または提出を求められた場合にはこれに応じること

(2)その他住宅取得税額控除制度の見直し(延長)

①認定住宅等の新築等をした場合の所得税額控除

イ.対象住宅…認定住宅およびZEH水準省エネ住宅

ロ.控除対象限度額…650万円

ハ.控除率…10%

ニ.適用期限…令和5年12月31日(入居期限)

②既存住宅の耐震改修工事をした場合の所得税額控除

イ.対象住宅…納税者が居住する家屋(所有を問わない)

ロ.(居住の用に供する期限(工事日から6か月以内の居住に限られます。))…250万円

ハ.控除率…5%(注)

ニ.適用期限…令和5年12月31日(居住の用に供する期限(工事日から6か月以内の居住に限られます。))

③既存住宅の特定の改修工事をした場合(上記②を除く)の所得税額控除

イ.対象工事…バリアフリー改修工事、省エネ改修工事、三世代同居改修工事、耐震改修工事または省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事、耐震改修工事および省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事(5つのカテゴリーが対象)

ロ.控除対象限度額…200万円から500万円(太陽光発電装置を併せて設置する場合は350万円から600万円)

ハ.控除率…5%(注)

ニ.適用期限…令和5年12月31日(居住の用に供する期限(工事日から6か月以内の居住に限られます。))

(②・③注) 以下の計算式により控除金額を算定

標準的な工事費用相当額(控除対象限度額を超える部分に限る)の合計額(a)+(a)と併せて行うその他一定の工事に要した費用の額の合計額(b)…❶

耐震改修工事または対象工事に係る標準的な工事費用相当額の合計額(または1000万円-(b)(各控除対象限度額を上限とする))…➋

❶または➋のいずれか低い金額×5%

 

(2)財産債務調書等の見直し

所得金額にかかわらず、その年の12月31日において有する財産の価額が10億円以上である居住者について、財産債務調書を提出する義務が課されました(令和5年分以後の所得税より適用)。

イ.提出期限

…その年の翌年6月30日(改正前は翌年3月15日。国外財産調書についても同様)

ロ.記載を省略できる「その他の動産の区分に該当する家庭用動産」の取得価額基準の引上げ

…300万円未満(改正前は100万円未満)

(3)上場株式等に係る配当所得等の住民税課税方式の見直し

個人住民税の上場株式に係る配当所得及び株式譲渡所得に係る所得の課税方式を、所得税の課税方式に一致させることとされました(令和5年分以後の所得税について適用されます(個人住民税については令和6年分以後)。)。

(4)上場株式等に係る配当所得等(大株主に係るもの)の課税方式の改正

内国法人から支払いを受ける上場株式等の配当等で、その支払いを受ける個人居住者等(対象者)および当該対象者を判定の基礎となる株主として選定した場合に同族会社に該当する法人との株式等の所有割合の合計が100分の3以上となる場合、当該対象者の配当等に係る課税方式を総合課税方式とすることとされました(改正前は分離課税方式)(令和5年10月1日以後に支払いを受けるべき上場株式等の配当等について適用されます。)。

(5)信託に関する受益者別(委託者別)調書の見直し

信託に関する受益者別(委託者別)調書について、「信託財産の価額」に記載すべき相続税評価額の算定が困難な場合には、見積価額(例えば土地については固定資産税評価額等、非上場株式等については簿価純資産額等)を記載することとされました(令和5年1月1日以後に提出すべき事由が生じる調書について適用されます。)。

(6)納税地の異動届の廃止

個人納税者の納税地を変更した場合の異動届の提出を不要とすることとされました(令和5年1月1日以後の納税地の変更等について適用されます。)。

 

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