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2023.08.09

所得税

令和5年度税制改正 所得税

1.特定非常災害の指定を受けた災害により生じた損失に係る純損失の繰越控除及び繰越損失の繰越期間の特例

以下の災害損失について繰越期間が5年とされました(①②は創設)。

① 青色申告者でその有する事業用資産の価額に占める特定被災事業用損失の割合が10%以上であるものに係る純損失の金額変動所得に係る損失との合計額

② 青色申告者以外の者については①に加え変動所得に係る損失を加算した金額

③ 居住者の住宅家財等について特定非常災害の指定を受けた災害により生じた損失について、雑損控除を適用してもなお控除しきれない損失額の繰越期間の5年への伸長(改正前は3年)

(適用関係;令和5年4月1日以後に発生する特定非常災害について適用されます。)

2.国外転出時課税制度における納税猶予等の見直し

(1)担保提供に関する手続きの改正

・・・一定の要件を満たす持分会社の持分を担保として提供することができることとされました。

(2)関連するその他措置の改正

・・・非上場株式等の換価が不能となった場合の猶予を受けた者に対する滞納処分について、他の財産に執行可能とされるとともに、国税徴収法の超過差押え禁止規定の適用除外とされました。

(適用関係;令和5年4月1日以後に担保提供する場合について適用されます。)

 

3.各種届出書類の提出に関する見直し

(1)給与所得者の扶養控除等異動申告書の簡素化

・・・前年に提出した内容に変動がない場合に「異動なし」の記載への変更

(適用関係;令和7年1月1日以後に提出する給与所得者の扶養控除等異動申告書および従たる給与についての扶養控除等異動申告書について適用されます。)

(2)給与所得者の保険料控除申告書の見直し

・・・「続柄」記載欄の廃止

(適用関係;令和6年10月1日分以後に提出する申告書について適用されます。)

(3)個人事業者が行う各種届出についての簡素化

・・・「開業等の届書」、「給与等の支払いをする事務所の開設等の届出書」

(適用関係;令和8年1月1日以後に生ずる事業の開始等について適用されます。)

・・・「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」

(適用関係;令和9年1月1日以後に支払うべき給与等および退職手当等について適用されます。)

・・・「青色申告承認申請書」、「青色専従者給与に関する届出書」

(適用関係;令和9年分以後の所得税について適用されます。)

・・・個人事業者の廃業に関する届出書および青色申告の取り止めの届出書の提出期限をその年分の所得税の確定申告期限としました。

(適用関係;「廃業の届出書」は令和9年1月1日以後に事業を廃止した場合について適用され、「青色申告書による申告を取りやめる旨の届出書」は令和8年分以後の所得税について適用されます。)

 

4.空き家譲渡に係る居住用財産の譲渡所得の3000万円特別控除の特例の見直し

対象となる譲渡資産について次の緩和及び控除額の制限がされました。

(1)譲渡資産要件の緩和

① 家屋と伴にする敷地譲渡の場合

・・・譲渡年の翌年2月15日までの間に被相続人居住用家屋が耐震基準に適合することとなった場合への見直し(譲渡後、買主負担での改修の場合でも適用可能とされました。)

② 被相続人居住用家屋を取壊し等によりその敷地のみを譲渡した場合

・・・譲渡年の翌年2月15日までの間の取壊し、除却および滅失をした場合への見直し(譲渡後、買主負担での取壊し・除却の場合でも適用可能とされました。)

(2)相続又は遺贈により取得をした相続人および包括受遺者による譲渡が3人以上である場合の特別控除額の制限

・・・特別控除額の2000万円への見直し

(適用関係;令和6年1月1日分以後に行う対象譲渡について適用されます(適用期限は令和9年12月31日まで)。)

 

5.低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の100万円特別控除の見直し

譲渡対価の上限額が800万円に引き上げられました(改正前は500万円が上限)。

(適用関係;令和5年1月1日分以後に行う対象譲渡について適用されます(適用期限は令和7年12月31日まで)。)

 

6.極めて高額な所得者に対する課税の特例の創設

基準所得金額が3億3000万円を超える者について、その超える部分の金額の22.5%相当額から基準所得税額を控除した金額の所得税を課することとされました。

(適用関係;令和7年分以後の所得税について適用されます。)

 

7.非課税口座内少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得の非課税措置(NISA)の改正

(1)つみたてNISA(非課税累積投資契約;一定の公募等株式投資信託:上限額年間40万円)の設定期間は令和5年12月31日までとされました(非課税上場株式等管理契約に係る設定期間(上限額年間120万円)は従来通り令和5年12月31日まで)。

(2)新NISA(特定非課税累積投資契約;特定累積投資勘定(つみたて投資枠):一定の公募等株式投資信託)への移行によりその上限額が年間120万円(累積限度額1800万円)に拡大され、適用期限は撤廃されました。

(3)新NISA(特定非課税累積投資契約;特定非課税管理勘定(成長投資枠):上場株式等)への移行によりその上限額が年間240万円(累積限度額1200万円)に拡大され、適用期限は撤廃されました。

(4)上記(2)および(3)の累積投資合計額(非課税保有限度額といいます。)は1800万円を上限とすること(上記(3)については上記(2)を別途投資が可能。非課税保有限度額に達した後、売却により枠が空いた金額は次年度に復活します。)

(適用関係;上記(2)および(3)は令和6年1月1日以後の期間について適用されます。)

(ジュニアNISAは令和5年12月31日までの口座開設をもって終了とされています。)

 

8.特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等の改正

経済的利益が非課税とされる新株予約権について、設立後5年未満の非上場または店頭売買登録銘柄に該当しない株式会社の新株予約権の付与(無償に限ります。)についての権利行使期間要件が以下のように見直されました。

・・・予約権付与決議日後15年を経過する日までに行使されること(改正前は10年)

(適用関係;令和5年4月1日以後に行われる付与決議に基づき締結される契約により付与される特定新株予約権に係る株式について適用されます。)

 

9.特定新規中小企業者が設立の際に発行した株式の取得に要した金額の譲渡所得の控除制度の創設

特定株式会社の設立に際して払込みにより取得した株式の取得者(一定の要件を満たす居住者等に限られます。)について、その取得に要した金額を、その年分の一般株式等に係る譲渡所得または上場株式等に係る譲渡所得の金額から控除(一般株式および上場株式に係る譲渡所得を上限とします。)する制度が新たに創設されました。適用額が20億円を超えた場合はその超えた金額を翌年以後の控除対象設立特定株式の取得価額または取得費から控除することとされています。

(適用関係;令和5年4月1日以後に設立される中小企業経営強化法第6条に規定する特定新規中小企業に該当する株式会社を対象として行われる株式の払込みにより取得した株式について(其年の12月31日において当該株式を保有していること等一定の要件を満たすこと)適用されます。なお、他の特例(「特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等」および「特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例」)との併用はできないこととされています。)

 

10.特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の見直し

(1)取得に要した金額の控除等および譲渡損失の繰越控除等の適用対象となる特定株式の範囲に、特定新規中小会社が発行した株式が追加されました。

(2)特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等の適用を受けた特例控除対象特定株式に係る同一銘柄株式の取得価額につき、適用額が20億円を超えた場合のその超過額を取得価額から控除することとされました。

(適用関係;令和5年4月1日以後に払込みにより取得をする特定株式について適用されます。)

 

11.特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の見直し

適用対象となる特定新規株式の範囲に、中小企業経営強化法施行規則の一部改正により追加された一定の特定新規中小企業に該当する株式会社で、営業活動によるキャッシュフローが赤字であること等の要件を満たすものにより発行される株式が追加されました。

(適用関係;令和5年4月1日以後に払込みにより取得をする特定新規株式について適用されます。)

 

 

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