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2017.10.29

法人税

平成29年度税制改正 法人税

(1)競争力強化のための研究開発税制の見直し

試験研究を行った場合の税額控除制度について、控除率の引き上げその範囲についての見直しがされました。中小企業者等についてはさらに地方税について、税額控除の上乗せが2年間の時限措置によりなされました。

(2)賃上げを促すための所得拡大促進税制の見直し

雇用者給与等支給額の増加要件の緩和および税額控除額の拡大がされました。中小企業者等についてはさらに地方税についても税額控除の拡大が図られました。

(3)コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備

  • ① 会計監査人設置会社について、法人税等の確定申告書の提出期限の特例について原則4か月まで延長することができることとされました(従来は1か月まで。会計監査人設置会社以外の法人についての提出期限の特例については従来通り原則1か月まで(平成29年4月1日より施行)。)。
  • ② 役員給与等の見直し
    • 1.業績連動給与について算定指標の見直し(業績連動指標の導入)が図られるとともに、役員給与等の範囲に株式又は新株予約権(市場価格のある株式及び新株予約権を交付するものに限られます。)による給与が追加されました。
    • 2.事前確定届出給与について以下の見直しが図られました(定期同額給与および業績連動給与のいずれにも該当しないものに限られます。)。
      • a.支給の対象に確定した数の株式および新株予約権が追加されました(市場価格のある株式及び新株予約権を交付するものに限られます。)。
      • b.譲渡制限付株式および当該新株予約権(市場価格のある株式及び新株予約権を交付するものに限られます。)は事前確定届出給与から除外されました。
    • 3.退職給与について、業績連動給与の損金算入要件を満たさないものは全額損金不算入とされました
      (株式を交付するものに限られます。株式交付以外の退職金は従来どうりです。)。
    • 4.定期同額給与の範囲に、税及び社会保険料の源泉徴収等の後の金額が同額となる定期給与が加わりました。
    • 5.譲渡制限付き株式または新株予約権対価とする費用の帰属事業年度の特例について見直しがされました。
      • *上記の内、退職給与ならびに譲渡制限付株式および新株予約権に係る部分は平成29年10月1日以後に、その他の部分は同年4月1日以後に支給又は交付に係る決議をする給与について適用されます。
  • ③組織再編税制の見直し
    • 1.適格分割の範囲に、一定の要件を満たした新設分割が加えられました。
    • 2.100%子法人株式の全部を分配する現物分配について規定がされました(分割型分割の株主に対する取扱いと同様の取り扱いとなります。)。
    • 3.吸収合併および株式交換に係る適格要件のうち,対価要件について見直しがされました。
    • 4.全部取得条項付種類株式の端数処理等・株式売渡請求による完全子法人化について組織再編税制としての位置づけの規定がされました。
    • 5.非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価および連結納税の開始または加入に伴う資産の時価評価について、時価評価対象資産の範囲から帳簿価額が1000万円未満の資産が除外されました。
    • 6.みなし配当の起因となる自己株式の取得につき、全部取得条項付種類株式に係る定めの定款変更決議に反対の株主からの買取り請求に係る自己株式の取得が、その範囲から除外されました。
    • 7.各組織再編税制における適格要件の見直し
      • a.企業グループ内の分割型分割における関係継続要件の見直しがなされました。
      • b.共同事業を行うための合併等における株式継続保有要件が緩和されました。
      • c.当初の組織再編の後、他の組織再編が行われる見込みである場合の当初要件についての見直しがされることとされました。
    • 8.営業権ならびに資産調整勘定および負債調整勘定の償却方法について、取得年度の償却限度額の計算上、月割計算を行うこととされました。
      • *上記の内、3~7については平成29年10月1日以後に行われる組織再編について適用されることとされています。

(4)中堅・中小企業の支援

  • 1.地域中核企業向け設備投資促進税制の創設
    • …取得価額2000万円以上の特定地域中核事業設備等に係る機械 装置・器具備品・建物及びその付属設備・構築物について特別償却または税額控除が認められたこと(平成31年3月31日まで)。
  • 2.中小企業向け設備投資促進税制の拡充
    • a.中小企業投資促進税制の上乗せ措置
      • …生産性向上設備等に係る即時償却の対象資産をすべての器具備品および建物付属設備を対象とすること
    • b.特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却または税額控除
      • …生産設備等を構成する機械装置・工具・器具備品・建物付属設備・ソフトウェアで特定経営力向上設備等に該当する一定のものについて、即時償却または取得価額の7%(特定中小企業者等にあっては10%(当期の法人税額の20%を限度)の税額控除との選択適用が認められました(平成29年4月1日から同31年3月31日までの間に国内において事業の用に供したもの)。

(5)地方創生の推進

  • 1.地方活力向上地域における特定建物等を取得した場合の特別償却または税額控除について控除率引き上げと適用期限の1年間の延長がされました。
  • 2.特定地域における雇用者数が増加した場合の税額控除についてその限度額の引上げが行われました。
  • 3.移転型事業の特定業務施設における増加従業員の転勤者要件の見直しがされました。

(6)災害に関する税制上の措置等

  • 1.災害損失金について、災害損失欠損金額に対応する部分の金額の法人税の還付請求制度が創設されました。
    • …災害が発生した日から1年を経過する日までの間に終了する事業年度または同日から6か月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額(その災害により棚卸資産棚卸資産等について生じた損失で一定のもの)を対象。
  • 2.特定非常災害の指定を受けた場合の被災区域において一定期間(発災日から5年を経過する日までの期間)内に被災代替資産を取得した場合の特別償却制度の創設。
    資産区分 発災日から3年間 同4・5年目
    建物又は構築物 15%(18%) 10%(12%)
    機械装置 30%(36%) 20%(24%)

    ()内は中小企業者等が取得した場合

  • 3.上記2同様、買換資産について一定の要件のもとその予定期間を2年の範囲内で延長できることとされました。
  • 4.復興産業集積区域等における機械等を取得した場合の特別償却または税額控除制度のうち復興居住区域に係る措置について適用期限を4年延長するほか、被災者向け優良賃貸住宅の特別償却率を引き下げることとされました。
  • 5.被災者向け優良賃貸住宅の割増償却制度について見直しを行ったうえで4年延長されました。

(7)円滑・適正な納税のための環境整備

  • 1.納税地の異動があった場合の届出手続きについて、異動後の納税地の所轄税務署長への提出が不要とされました。
  • 2.法人の設立届出書等について登記事項証明書の添付が不要とされました(平成29年4月1日以後の届出より適用)。
  • 3.外国税額控除制度および試験研究開発税制について、増額更正に伴うこれらの控除枠の増加による控除の連動した取扱いが明文化されました。

(8)その他租税特別措置等

  • 1.協同組合等が出資する連合会等の普通出資に基づく配当金につき、その50%相当額が益金不算入とされました。
  • 2.その他所要の措置が手当てされました。

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