(1) 損金算入の対象となる業績連動給与(役員給与に関するもの)の損金算入要件の見直し
- ①報酬委員会または報酬諮問委員会設置会社における決定手続きの見直し
- a.業務執行役員が各委員会のメンバーであることの容認(ただし、当該業務執行役員の特殊関係者が各委員会のメンバーになっていないこと(=お手盛り防止))
- b.各委員会の過半数が独立社外役員であること
- ② 監査役会設置会社および監査等委員会設置会社における決定手続きの見直し
- …監査役または監査等委員の過半数が書面(算定方法が適正である旨の監査役会の決議書面)により提出または取締役会の決議に参加して決議を経ていること
(適用関係;平成31年4月1日以後に終了する手続きに係わる給与について適用されますが、令和2年3月31日以前に終了する手続きに係わる給与については、改正前の規定を適用できることとされています。)
(2)中小企業者から除外されるみなし大企業の範囲の見直し
- ①みなし大企業判定における大規模法人に以下の法人が追加されました。
- a.大法人(資本金等の金額が5億円以上の法人、相互会社および外国相互会社で常時使用人数が1000人超の法人並びに受託法人)との間に完全支配関係のある被支配普通法人
- b.大法人による完全支配関係があることとなる被支配普通法人
- ② みなし大企業判定における対象法人の自己株式等を除外して判定することとされたこと
(適用関係;平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用されます。)
• 住宅ローン控除の適用誤り(国税庁公表事例)にご注意ください。(所得税)
- ①住宅取得資金贈与制度(贈与税)と住宅ローン控除制度(所得税)を併用した際の、ローン控除の対象となる借入金額につき住宅取得価額から贈与を受けた金額を控除して税額控除計算の対象としなければなければならないことの失念。これにより税額控除過大となる可能性が生じることへの注意喚起です。
- ②居住用財産譲渡に係る3000万円の特別控除特例の適用と住宅ローン控除制度(所得税)の併用不可(譲渡損の場合は適用可)。上記①に比べると誤りは少ないようですが、申告に際しては特別控除による節税額とローン控除による総税額控除金額とを比較して決定することが重要です。
- ③ローン控除制度ではありませんが、住宅取得資金贈与制度(贈与税)の適用要件に所得金額制限(2000万円以下であること)がありますが、この失念による贈与税の申告が散見されるとのことですので注意が必要です。
なお、上記に伴う過少納付があったことに気づいた場合、自主的に修正申告することで、過少申告加算税(原則5%)は免除されます(延滞税は課税。)ので早めに該当する場合は、修正申告に臨むことです。
• 改正民法(相続編)の施行日
- ①療養看護者の特別の寄与制度の創設(改正民法1050条)・・・平成31年7月1日
- ②遺留分侵害の請求(改正民法1046条)・・・同上
- ③遺産分割前における預貯金債権の行使(法定相続分について一金融機関当り150万円が限度とされます。( 改正民法909条の2)・・・同上
- ④特別受益者の相続分(改正民法903条)・・・同上
- ⑤自筆証書遺言の作成要件の緩和(財産目録部分)(改正民法968条)・・・平成31年1月13日
- ⑥法務局における自筆証書遺言の保管制度(遺言保管法(新設))・・・令和2年7月10日
- ⑦遺言執行人(改正民法1007条)・・・平成31年7月1日
- ⑧配偶者居住権の創設(改正民法1028条)・・・令和2年4月1日
• 相続等による被相続人居住用不動産(空き家)譲渡に伴う譲渡所得の特別控除(最大3千万円)
(所得税)
相続人が相続等により取得した次の要件を満たす空き家を譲渡した場合、譲渡所得金額から最大3000万円の特別控除をすることができる制度です。
- ①被相続人の居住の用に供されていていた家屋又は敷地の譲渡であること。(注1)
- ②昭和56年5月31日以前に建築された家屋(またはその敷地)であること(区分所有建物を除きます。)。(注2)
- ③相続開始直前に被相続人以外の者が居住していなかったこと。(注3)
- ④平成31年12月31日までの間に行われる譲渡であること。
- ⑤相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にした譲渡であること。
- ⑥譲渡対価の額が1億円以下であること(1億円を超える場合には適用できません (譲渡対価の金額には固定資産税未経過分相当金額が含まれますので注意が必要です。)。)。なお、この特例の適用を受ける場合には、相続税額の取得費加算の特例は適用できませんのでこの点も注意が必要です。
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- (注1)家屋の譲渡がある場合は当該家屋の耐震基準適合証明書または住宅性能評価証明書の写しが必要となります(家屋取壊し後の譲渡の場合は不要)。また、居住の用に供していたかどうかの判定は現況によることとされていますので、老人ホーム等に入居していた場合であっても適用がある場合があります。
- (注2)家屋の登記の有無は問いませんが、無い場合には完成当時の検査済証や建築請負契約書等、固定資産税課税台帳の写しにより要件を満たす裏付けが必要となります。
- (注3)居住用部分と貸室とが一体となった建物の場合には適用がありませんので要注意です。