News&Topics

2018.01.10

相続・贈与税

平成30年度税制改正 相続・贈与税

(1)相続税または贈与税の納税義務の見直し

特定の一般社団法人等による租税回避行為規制の強化(相続税法65・66条関係)

  • ①. 特定一般社団法人等の役員(理事に限られます。)であるものが死亡した場合のみなし相続税課税制度の導入
    • …相続開始前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の役員であったものを含めその相続発生時の当該特定一般社団法人等の純資産額を、その死亡時の同族役員(被相続人を含めます。)の数で除した金額相当を当該被相続人から遺贈により取得したものとして、当該特定一般社団法人等に相続税を課税することとされました。
  • ②. 一般社団法人等に対して贈与等があった場合の贈与税等の見直し
    • …個人から一般社団法人等(公益社団法人等を除きます。)に対して財産の贈与があった場合の贈与税等の課税について、贈与税等の負担が不当に減少する結果とならない要件の明確化がなされました。

     

(2)小規模宅地等の軽減特例の見直し

  • ①. 特定居住用宅地等(80%の評価減)の適用対象となる居住用宅地等の取得者要件の改正
    • ・被相続人と同居していない親族(配偶者を除きます。)に適用される要件が次のように改正されました。
      • ア. 相続開始前3年以内に3親等以内の親族、同族会社、一般社団法人等(親族等が役員となっているものに限ります。)が所有する家屋に居住したことがない事
      • イ. 相続開始前に居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがない事
  • ②. 特定居住用宅地等(80%の評価減)の適用対象となる居住用宅地等の範囲の改正
    • ・被相続人の居住の用に供されていたと見なされる場合に次の場合が追加されました。
      • ア. 介護医療院に入所した場合
  • ③. 貸付事業用宅地等(50%の評価減)の適用対象となる貸付用宅地等の要件の規制の強化
    • ・相続開始前3年以内に貸付を開始した場合の宅地については、貸付事業用宅地等(50%の評価減)の特例の適用対象から除外することされました(ただし3年を超えて事業的規模(5棟10室基準を満たす規模の貸付)で貸付事業(特定貸付事業といいます。)を行っていた場合の被相続人の3年以内貸付供用宅地等を除くこととされ、また、平成30年3月31日までに賃貸を開始した不動産の敷地について、平成33年3月31日までに開始した相続については従来通りとされました。)。
      • *上記改正は平成30年4月1日以後に相続若しくは遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

(3)事業承継税制の特例の創設

  • ①. 特例後継者が特例認定承継会社の代表権を有していた者から、贈与又は相続若しくは遺贈により当該非上場の特例認定承継会社の株式を取得した場合には、そのすべての株式について当該特例後継者の死亡の日等までその納税を猶予することとされました。
  • ②. 特例後継者が特例認定承継会社の代表者以外の者から贈与等により取得する非上場の特例認定承継会社の株式についても、特例承継期間(5年)内に当該贈与等に係る申告書の提出期限が到来するものについてもこの特例を適用することとされました。
  • ③. 現行の事業承継税制における雇用確保要件を満たさない場合であっても、納税猶予の期限は確定しないこととされました。その場合にはその理由を記載した書類(認定経営革新等支援機関の意見が記載されたものに限定)を都道府県に提出することとされています。
  • ④. 経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合に、特例承継期間(5年)経過後に特例認定承継会社の株式を譲渡するとき時、特例認定承継会社が合併により消滅するとき、特例認定承継会社が解散をするとき等には、納税猶予額を免除することとされました。
    • *上記改正は平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に贈与等により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用されます。
  • ⑤. 上記特例を受けるための前提として、特例承認計画を作成し、平成35年3月31日までに都道府県知事の確認を受ける必要があります。

   

(4)農地等に係る相続税の納税猶予制度の改正

  • ①. 公共団体等一定の要件を満たす者に対する生産緑地の以下の貸付が納税猶予の対象とされました。
    • ア. 都市農地の貸借の円滑化に関する法律に規定する一定の認定事業計画に基づく貸付
    • イ. 都市農地の貸借の円滑化に関する法律に規定する特定都市農地貸付の用に供されるための貸付
    • ウ. 特定農地貸付法の規定により地方公共団体又は農協が行う特定農地貸付の用に供されるための貸付
    • エ. 特定農地貸付法の規定により地方公共団体又は農協以外の者が行う特定農地貸付けの用に供されるための貸付
  • ②. 三大都市圏の特定市以外の地域内の生産緑地について、営農継続要件を終身としました。
  • ③. 特例農地等の範囲に、「特定生産緑地」(注)である農地等および三大都市圏の特定市の田園住居地域内の農地が加えられました。
  • ④. 「特定生産緑地」の指定又は指定の期限の延長がなされなかった生産緑地については、現に(平成33年12月31日までに)適用を受けている納税猶予に限り、その猶予が継続されることとされました。
    • (注)「特定生産緑地」とは、平成33年12月31日までに平成34年1月1日から10年間、死亡又は故障の事由が発生しない限り自治体への買取り申し出ができない指定を受けた生産緑地を指します。
    • *上記改正は、都市農地の貸借の円滑化に関する法律の施行の日以後に相続又は遺贈により取得した農地等に係る相続税ついて適用されます。

(5)特定美術品の相続税の納税猶予制度の創設

文化財保護法の対象となる一定の美術品(特定美術品)について、一定の美術館に寄託した場合に、所定の方法により計算した相続税額について当該特定美術品に係る課税価額の80%に対応する相続税を納税猶予することとされました(寄託相続人は3年ごとに継続届出書を所轄税務署長に提出することを要件とし、当該寄託相続人の死亡により当該猶予税額は免除されます。)。

(6)相続税の申告書等の添付書類の見直し

  • ・相続税の申告書等の添付書類の戸籍謄本について、その複写したもの等の被相続人の全ての相続人、当該相続人の法定相続分および被相続人の実子又は養子のいずれに該当するかの別を明らかにする書類を加えることとされました。
    • *上記改正は平成30年4月1日以後に提出する申告書ついて適用されます。

税額シミュレーション

業務内容

法人の税務相談

個人の税務相談

経理記帳代行業務

税務書類の作成

税務申告代理

法人の設立

監査業務

メールによる税務相談