Column

2021.05.08

先物取引に係る損失の繰越控除要件は連続して確定申告書を提出することとされた事例(所得税:平成30年東京高裁判決)

所得税

過去3年以内に発生した先物取引の差金決済に係る損失の繰越控除の制度の適用を受ける要件について、①確定申告書への明細書等の添付②連続しての確定申告書の提出③繰越控除を受けようとする年の確定申告書の提出がその要件として規定されているところ、②の連続しての提出を巡って争われていた事例について、裁判所は、結果として連続した形になっていることは②の要件を満たしたことにはならない、つまり毎年順番に確定申告書等(期限後申告書を含みます。)を提出していることが要件であるとしました。なお、損失の繰越控除受けるためには更正の請求によることも可能とされていますが、前々年度以前分の場合には更正の請求は受けられませんので、損失が発生した場合には翌年度の確定申告での申告記載漏れがあった場合は1年以内の更正の請求を失念しないことが重要です。また、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除についても同様3年間の損失の繰越控除制度がありますが、やはり同様に確定申告書等を提出している必要があります(令和元年大阪地裁判決)。

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