2023.08.26
配偶者居住権制度は、民法改正により令和2年4月1日以後発生の相続より適用されています。その成立要件を以下に記します(民法 1028①)。
1.配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していたこと
2.次のいずれかの場合に該当すること
① 遺産の分割(注1) によって配偶者居住権を取得するものとされた場合
② 配偶者居住権が遺贈の目的とされた場合(注2,3)
3.被相続人が相続開始の時において居住建物を配偶者以外の者と共有していないこと(注4)
(注1)遺産の分割には、遺産の分割の協議のほか、調停又は審判を含みます。
(注2)死因贈与によることも認められるとされています。
(注3)特定財産承継遺言(民法 1014②)によって配偶者居住権を取得させることはできません。
(注4)被相続人が居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合(例えば子との共有)には、配偶者居住権を設定することができません。
4.配偶者居住権の存続期間は、原則として配偶者の終身の間とされること(注) (注)遺産分割協議、遺言の定め、あるいは家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときはその定めるところによります(民法 1030)。
配偶者居住権は税務上は、居住用建物利用権(賃貸部分を除きます。)及びその敷地利用権の双方から成立することとされています。その合計の相続税評価額をその取得価額として必要経費の計算をすることとされています。
1.居住建物の所有者の承諾を得た場合に、第三者に居住建物の使用又は収益をさせることで不動産収入を得る場合・・・配偶者の不動産所得または雑所得
2.建物所有者との契約により配偶者居住権の合意解除をした場合、配偶者居住権の目的となっている建物、土地(敷地利用権)が収用等により補償金を受け取る場合、あるいは配偶者居住権の目的となっている建物、土地を取得してその後に売却する場合等・・・譲渡所得
3.配偶者居住権および敷地利用権の必要経費計算・・・減価償却計算と同様な考え方でその存続期間にわたり償却していく考え方を取ります。
① 年間の必要経費額=その取得価額÷存続年数
② 譲渡所得計算上の取得費=その取得価額ー上記①累計金額
詳しい実例を含めた説明が国税庁hpに掲載されてます(「配偶者居住権に関する譲渡所得に係る取得費の金額の計算明細書」等の記載例につい て(情報))
個人が相続又は遺贈(死因贈与を含む。以下同じ。)により取得した、配偶者居住権に基づく敷地利用権については、特定居住用宅地等として80%の評価減(敷地利用権の面積が330㎡を上限)の特例制度の適用が受けられます(租税特別措置法通達69の4-1の2 )。その面積の算定方法は以下の通りです。
算式)
法人の税務相談
個人の税務相談
経理記帳代行業務
税務書類の作成
税務申告代理
法人の設立
監査業務
メールによる税務相談